研究課題/領域番号 |
10660287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
新城 敏晴 宮崎大学, 農学部, 教授 (10040859)
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研究分担者 |
後藤 義孝 宮崎大学, 農学部, 助教授 (30142136)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Fusobacterium necrophorum / liver abscess / cytokine endotoxin / neutrophik(s) / Inflammatory response / 遺伝子解析 / クラスター分析 / RAPD-PCR / 16s ribosomal RNA / 肝膿瘍形成 / 外膜タンパク / 細胞付着性 / 壊死桿菌 / 嫌気性細菌 / 病原因子 / 肝膿瘍 / LPS / 好中球 / 走化因子 |
研究概要 |
壊死桿菌(Fusobacteriuum necrophorum)は現在F.necrophorum subsp.necrophorum(Fnn)およびF.necrophorum subsp.funduliforme(Fnf)の2亜種に分類されている。肝膿瘍病変からは、Fnnが優位に分離され、同菌種はFnfに比ベ、マウスに対する病原性が強い。このような亜種間での病原性の違いには様々な病原因子が関与していると考えられる。そこで今回我々はFnn、Fnf両亜種に関する分子遺伝学的な解析を行うと同時に両菌種がもつエンドトキシンと外膜タンパクを中心にそれらが肝膿瘍形成にどのように関わっているかを調べた。RAPD法によるDNA多型分析を行った結果、複数のプライマーを組み合わせることによりFnn、Fnf両亜種それぞれに特具的なバンドを検出することができた。残念ながら、得られた亜種特異的バンドと病原因子との関連をあきらかにすることはできなかった。壊死桿菌が感染した動物では血液中の好中球数の著しい増加と、リンパ球数の減少がみられるが、この現象が膿瘍形成個体ほど著しいことに着目し調査したところ、壌死桿菌のもつエンドトキシンが密接に関っていることが分かった。興味あることに、FnnはFnfのそれに比べて幾種類かの液性因子(サイトカイン)を大量に細胞から放出させる能カをもっていた。とりわけIL-l7やMIPは炎症細胞を誘導し、大量に局所に集める作用をもつが、Fnnから抽出したエンドトキシンはFnfのそれに比べて大量にMIPを産生させる能カがあることが分かった。またFnnの細胞膜からタンパクを抽出しその作用をみたところ、動物細胞を障害する性質はほとんど持っていなかったが、同タンパクに対する抗体は細胞へのEnn付着を阻止することから、菌の細胞への付着する能力と密接に関係していると推定された。しかもその成分は膿瘍形成能カをもつFnnだけに存在し、このタンパク質であらかじめ動物(マウス)を免疫しておくと、Fnnの感染による膿瘍形成が阻止された。こうした成果が得られたことにより、膿瘍形成のメカニズムの一端をあきらかにすることができたと思われる。
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