研究概要 |
(1)線毛は、可動性の細胞質突起である。線毛の基部で、基底小体の微小管とaxonemeの微小管との連続性の障害されたprimary ciliary dyskinesiaの形態像について報告した。 (2)線毛細胞の形成、即ち線毛発生ciliogenesisに特異的に出現するfibrous granuleは、中心子の複製に加え、根小毛striated rootletの形成に密接に関与することを、根小毛を認識する特異抗体R4109抗体)を用いた免疫組織化学的手法により解明した。 (3)根小毛は、線毛を伸長した基底小体に付随する細線維の束で、ヒトでは65nmの周期性の横紋構造を示す。根小毛をヒト卵管粘膜上皮より精製してラットに免疫し、根小毛を認識する多数の抗体(R38,R67,R95,R149,R155,R123)を作製した。これらは、線毛細胞の線毛に加えて分泌細胞の孤立線毛に付随する根小毛も認識し、認識される抗原が根小毛の横紋の構成要素であることを明らかにした。ウエスタンブロティング法では、205-215kDaのバンドを検出した。 (4)上記の抗体により、ヒト線維芽細胞の中心子に根小毛の付随することを見いだした。ヒト線維芽細胞のcDNAライブラリーを用いて、抗原蛋白質の発現クローニングを行なった。 (5)ヒト組織の種々の細胞について、上記の抗体によって認識されるルートレット関連抗原の細胞内発現について組織化学的に検討した。ほとんど全ての細胞において、線毛の形成と関係なくルートレットが中心子に付随して形成され、発達の程度に細胞によって差のあることを見いだし、また中心子・ルートレット・ゴルジ装置間の機能連関が示唆された。
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