研究課題/領域番号 |
10670025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
平林 義章 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (30181184)
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研究分担者 |
島田 昌一 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (20216063)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸結合タンパク質 / 眼発生 / 組織化学 / BALB / c系マウス / 低硫酸化マウス / グリコサミノグリカン / プロテオグリカン / 短肢症マウス / Wister系ラット |
研究概要 |
眼球発生過程ではいくつかの重要な時期がある。マウスにおいては胎生10日頃に表面外胚葉より水晶体胞の分離があり、胎生13日頃胎生裂の閉鎖が見られる。また網膜の層構造の形成は出生直後より始り、開眼する生後2週齢までに完成する。 表面外胚葉からの水晶体胞の分離は水晶体茎の消失によって行われる。この時期水晶体茎には多数のアポトーシスによる細胞死が観察される。胎生12日以前の眼球前部にヒアルロン酸が存在しているが、アポトーシスが観察される時期には同部位にヒアルロン酸は存在しなかった。また、自然発症水晶体茎分離不全を示すマウスではアポトーシスが観察されず、水晶体茎には多量のヒアルロン酸が存在した。アポトーシスはヒアルロン酸により抑制されることが知られており、我々の所見はこの作用を支持するものであった。 水晶体胞分離の後、前眼部では角膜内皮が出現し、角膜上皮と内皮との間に角膜実質細胞が遊走してくる。この時期、角膜実質には多量のヒアルロン酸が存在した。また角膜実質細胞にはCD44の発現がみられた。角膜実質細胞の遊走の後、角膜実質の細胞外マトリックスはヒアルロン酸からコンドロイチン硫酸、さらに、ケラタン硫酸へと変化していった。 眼球網膜色素上皮細胞と脈絡膜毛細血管板の間に存在するブルッフ膜は5層構造(色素上皮細胞および脈絡膜毛細血管板内皮細胞の基底膜、内外の膠原線維層および弾性線維層)をなす。出生直後では色素上皮細胞と内皮細胞の基底膜からなり、その間隙にはヒアルロン酸が存在した。この時期色素上皮細胞にはCD44が発現していた。両基底膜間に膠原線維層が形成されると、間隙にはコンドロイチン硫酸が出現し、膠原線維層の間に弾性線維層が形成されるとコンドロイチン硫酸はデルマタン硫酸へと変化して行った。また、コンドロイチン硫酸が出現する頃からデコリンが出現し、膠原線維層の発達とともに増加していった。 先天的に硫酸基転移酵素の異常のために低硫酸化酸性複合糖質を産生し、結果として短肢症を生じるC57BL-bm/bmマウスより原因遺伝子であるbm遺伝子をBALB/cマウスに導入したBALB/c-bm/bmマウスの系統確立を継続した。低硫酸化マウス(BALB/c-bm/bm)の眼球を用いて発生過程におけるグリコサミノグリカンの変化を観察した。ブルッフ膜では膠原線維層および弾性線維層の形成が悪くデコリンの発現も悪かった。また正常マウスに比較して多量のヒアルロン酸の存在が確認された。
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