研究概要 |
発生期において形態・機能の両面で常に変容する血管内皮細胞の全体像,隣接細胞との関連,微小循環網工形成における内皮細胞と内皮周囲細胞の機能的関連など不明な点が多い.本研究は,内皮細胞の形態・発芽能・透過性・運動能の変遷と内皮管周辺の各種細胞との形態学的関連と共に機能的関連についても明らかとすることを目的とする. 平成10年度は主に脳・心筋内の内皮管を構成する内皮細胞の生後発生過程における形態の変化と周囲細胞との関連につき,共焦点レーザー走査型顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて検討した. 平成11年度は上記の所見をふまえ;1)微小血管網発生動態の3次元観察:微小血管網工形成の3次元動態の観察と記録,2)微細形態の観察:透過型電子顕微鏡により,内皮細胞とその周辺組織の詳細な観察,3)電子顕微鏡連続切片法により超微細形態レベルでの立体再構築,4)免疫組織化学法を主とした分子生物学的ないしは機能形態学的手法を用いて初期発生過程についての解析,等を行い国内外の学会(日本循環器学会,日本電子顕微鏡学会,日本臨床電子顕微鏡学会,日本解剖学会,日本エム・イー学会,日本微小循環学会,American Heart Association)そして学術誌に発表している.また,結果の一部は研究代表者が上海東方病院(中華人民共和国・上海市)において特別講演を行った(「ヒト脳動脈の組織発生(On the histogenesis of human intracranial arteries)」).
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