研究課題/領域番号 |
10670056
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (70162758)
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研究分担者 |
西浦 直亀 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (70132933)
下内 章人 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (80211291)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 肺循環 / 低酸素性肺血管収縮 / 筋性肺動脈 / 弾性肺動脈 / 一酸化窒素合成酵素 / カリウムチャネル / 慢性低酸素性肺高血圧 / 微小循環 / 免疫組織化学 / 血管口径 / ラット / 肺小葉 / 肺細葉 / 肺小血管 / 一酸化窒素 / プロスタサイクリン / 電位依存性カリウムチャネル / カルシウム活性化カリウムチャネル / 4-アミノピリジン / イベリオトキシン |
研究概要 |
低酸素に対し、体血管系は拡張するが、肺血管系は収縮する。本研究の第1の目的は、肺血管に特異的に起こる低酸素性肺血管収縮(HPV)の発生部位を同定することである。肺血管は発生学的に中枢側のsystemic originと末梢側のpulmonary originに分けられる。そこで第2の目的は、HPVはpulmonary originの小動脈に限局して起こると仮定して、HPV-positiveとnegative血管間で、機能的、形態的差異の有無を探るこである。 実験には独自のX線TVシステムを用いた。まず、麻酔下ネコに応用し、HPVは肺小葉内の〜100-600μm径の肺血管に限局する(特に200-300μm動脈で最大である)ことを明らかにした。他方、一酸化窒素(NO)やプロスタサイクリンの吸入は広範囲(100-1000μm)の肺血管に応答を引き起こしたことより、この限局性応答は、HPVに特異的と考えられた。 次に血管の組織学並びに肺の構造学の面から、ネコ肺動脈を直列方向に5つのセグメント(弾性肺葉動脈、弾性区域動脈、移行型亜区域動脈、筋性小葉動脈、筋性細葉動脈)に分類し、1)各セグメントのbasal vascular tone調節へのNO合成酵素(NOS)並びにvoltage-dependent K^+(K_V)channel、Ca^<2+>-sensitive K^+(K_<Ca>)channel及びATP-sensitive K_+(K_<ATP>)channelの関与と2)HPVの発生機構(K_Vchannelの抑制で起こる)へのK_<Ca>及びK_<ATP> channel(いずれも低酸素時活性化する)の関わりについて、NOSとK^+ channelのinhibitorを用い調べた。その結果、1)NOS並びにK_<Ca>及びK_<ATP> channelによるbasal tone制御は、亜区域以上の弾性動脈で強く小葉内の筋性動脈では弱いが、K_V channelによる制御は全肺動脈でほぼ同じであること、また、2)小葉内に起こったHPVへのK_<Ca>及びK_<ATP> channelを介した拡張性機構の影響は少ないが、亜区域以上の弾性動脈では、K_V channelを介した収縮機構とK_<Ca> channelを介した拡張機構のバランスで低酸素応答が決まることが分かった。 最後に、ラットを用い、慢性低酸素によるNOSのbasal tone調節機能の変化を、筋性及び弾性肺動脈間で比較検討した。正常ラットでは、内皮型NOS(eNOS)、誘導型NOS(iNOS)のタンパク発現は、弾性動脈に多く分布し、筋性動脈では少ないが、10%O_2環境で3週間飼育すると、いずれのNOSも筋性動脈を中心に増大した。また、eNOS及びiNOSを介した血管拡張作用も筋性動脈で増大した。このNOSのupregulationは肺高血圧進展に抑制作用を持つと考えられた。 以上、HPV-positiveとnegative血管間では、NOS及びK^+ channelを介した調節機構が大きく異なることが明らかになった。
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