研究課題/領域番号 |
10670059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山口 賢一 新潟大学, 医学部, 助手 (50108023)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 第三脳室腹側前部 / 一酸化窒素 / L-アルギニン / ニトロブルシド / L-NAME / ADH / 心臓血管系 / 浸透圧刺激 / 対角帯垂直肢核 / 抗利尿ホルモン / 心臓血管作用 / 一酸化窒素(NO) / L-arginine / Sodium Nitroprusside / NG-nitro-L-arginine(L-NAME) / プロスタグランジン / 浸透圧受容器 / アルギニン / MG-nitro-L-arginine(L-NAME) |
研究概要 |
本研究の目的は、第三脳室腹側前部(AV3V)で生じる一酸化窒素(NO)が、この領域に存在する抗利尿ホルモン(ADH)分泌及び心血管制御機構にどの様に働くのかを解明し、それがPGE2や浸透圧刺激下の反応に関与するのかどうか、と言う問題を追求することだった。実験は、ほぼ計画通り進行し、次の結果を得た。 1.NO合成酵素(NOS)の基質であるL-アルギニン(Arg)のラットAV3Vへの投与は、用量依存性にADH分泌を刺激し、血圧(BP)と心拍数(HR)を増大させた。血漿浸透圧やNa^+、K^+、Cl^-などの電解質濃度は変わらなかった。L-Argの立体異性体であるD-Argは、ADH分泌や心血管因子に影響しなかった。 2.L-ArgによるADH、BP、HRの反応は、NOS阻害薬L-NAMEのAV3V前投与によって抑制された。L-NAMEの単独投与は、基礎レベルのBPとHRを高めたが、ADH分泌には影響しなかった。 3.ニトロブルシド・ナトリウム(SNP)のAV3V投与も、用量依存的にADH分泌を加速させた。BPは、L-Arg投与時よりも遅れて増加し、HRやその他の因子は変わらなかった。SNPのADH分泌作用は、等浸透圧の高張NaClのそれを大きく凌いだ。 4.SNPによるADH分泌は、ヘモグロビン(Hb)のAV3V前投与で抑制されたが、BP反応は影響されなかった。メチレンブルー(MB)の前注入は、逆に、SNPによるADHとBPの反応を著しく強めた。Hb、MBの単独注入は、ADH分泌や心血管因子に影響しなかった。 5.cyclic GMPのAV3V投与は、L-Arg投与時と同じ時間経過でADH分泌を加速し、BPとHRを高めた。 6.AV3Vに近接する対角帯垂直核へのL-Arg投与は、どんな因子にも影響しなかった。脳室内投与では、L-ArgはADH分泌を高めたが、BP、HRに影響せず、SNPはADH分泌とHRを変えずに、BPを一過性に低下させた。 7.PGE2のAV3V注入で生じるADH分泌と昇圧・頻脈反応、2.5MNaClの静脈内持続注入に伴うADH分泌と昇圧反応は、何れも、L-NAMEのAV3V前投与で有意に変わらなかった。L-NAMEは、高張NaCl注入による血漿浸透圧、Na^+、Cl^-の反応には影響しなかった。 8.以上の結果は、AV3Vで生じるNOは、少なくとも一部、グアニル酸シクラーゼの活性化を通して、ADH分泌を促進し、BP、HRを増加させるが、この領域のPGE2受容体や浸透圧感受機構の活性化によって生じるこれら因子の反応には関与しない、ことなどを示唆している。
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