研究課題/領域番号 |
10670066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
吉松 博信 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00166993)
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研究分担者 |
坂田 利家 大分医科大学, 医学部, 教授 (50037420)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | レプチン抵抗性 / 視床下部 / 脂肪酸 / 食餌誘導性肥満 / Zucker fa / fa rat / OLETF rat / 神経ヒスタミン / agouti mice / レプチン / 肥満症 / Zucker fatty rat / Zucker obese rat |
研究概要 |
肥満症発症過程における脂肪酸代謝動態変化のレプチン抵抗性への関与について研究し、以下の成果を得た。1)食餌誘導性肥満ラットでは肥満発症早期から肝臓においてパルミトオレイン酸やオレイン酸などのMUFAが増加し、リノール酸やアラキドン酸などのPUFAが減少する。これらの脂肪酸組成変化は脂肪組織や筋肉へと拡大し、インスリン抵抗性の発症へとつながる。2)脂肪組織ob gene発現と血中レプチンは食餌誘導性肥満発症早期から反応する。3)Zucker fa/fa ratの肝臓内脂肪酸組成は食餌誘導性肥満ラットと同様のパターンを示す。fa/+ratでは過食や肝臓内脂肪酸組成変化を認めないが、肝臓内脂肪蓄積量が増加する。すなわち、レプチンは脂肪酸組成変化を介さずに肝臓内脂肪代謝に影響する。したがって、Zucker fa/fa ratにおける脂肪酸組成変化はレプチン作用不全の直接的結果ではなく、肥満あるいは過食によると考えられる。4)OLETF ratにおいても同様の肝臓内脂肪酸組成変化が認められる。5)脳内脂肪酸組成は末梢とは異なり、リノール酸の減少が著明である。脳内脂肪酸組成は肥満の影響を受けない。またレプチン作用不全の影響も少ない。6)視床下部神経ヒスタミンはレプチン欠損動物であるob/ob miceやレプチン受容体異常動物であるdb/db mice、fa/fa ratでは低下しているが、agouti obese yellow miceやOLETF ratでは変化がない。またsucrose負荷食餌誘導性肥満ラットでは増加している。これらの違いにレプチン作用不全やレプチン抵抗性の程度の差が関係している。7)agouti obese miceの視床下部では、食行動調節物質であるCARTとAGRPが高レプチン血症によって変化し、レプチン抵抗性を示さない。すなわちレプチン抵抗性の影響は脳内物質によって異なる。8)脂肪酸単独成分含有食は視床下部神経ヒスタミンに影響しない。9)脂肪酸単独成分含有食飼育動物ではオレイン酸の負荷によって脂肪蓄積、インスリン抵抗性、レプチン抵抗性が助長される。以上、脂肪酸は高脂血症、脂肪肝、糖尿病、インスリン抵抗性などの発症に深くかかわり、特に肝臓の脂肪酸組成はそれら発症に重要である。脂肪酸のなかではオレイン酸が肥満およびその合併症の発症過程に関わり、レプチン抵抗性への関与も示唆される。しかし脳内脂肪酸組成が安定していることから、オレイン酸とレプチンの関わりは視床下部レベルではなく、末梢組織あるいは脳内へのレプチン輸送の段階で生じている可能性が高い。
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