研究概要 |
エクト型ホスホジエステラーゼ/ヌクレオチド・ピロホスファターゼは細胞外のATPを分解してアデノシンとピロリン酸に変換する酵素であり、3つの分子(PC-1、PD-Iα/autotaxin、PD-Iβ/gp130^<RB14-6>B10)からなるファミリーを形成している。本研究では次の成果を得た。 (1)これらの三つの分子の統一名を策定し、それぞれE-NPP1,-2,-3(ecto-nucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase I-1,-2,-3)と呼ぶ事にした。 (2)ヒトE-NPP3遺伝子を単離し、そのエクソン・イントロン構造を決定した。また、プロモーター領域の転写調節部位について解析を行った。E-NPP分子はがん細胞の転移に関連している。今回、E-NPP3がヒト・グリオーマ細胞に発現されている事を示した。 (3)E-NPP1と-3の軟骨細胞における局在と酵素活性について検討を行った。その結果、E-NPP1と-3は共に軟骨細胞の細胞外ピロリン酸濃度を上昇させるが、細胞内ピロリン酸濃度を上昇させるのはE-NPP3のみであった。また、免疫染色の結果、E-NPP3は細胞形質膜だけではなく、ゴルジ体にも存在していた。未分化軟骨細胞の分化に伴って、E-NPP1と-3の発現が増加した。これらの結果により、E-NPP1のみならずE-NPP3も骨代謝に関与している可能性が示唆された。
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