研究課題/領域番号 |
10670146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉村 眞一 東海大学, 医学部, 講師 (30230808)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 過酸化脂質 / 過酸化脂質還元活性 / アポリポプロテインB100 / アポリポプロテインA1 / 妊娠中毒症 / 糖尿病 / 腎不全 / 過酸化脂質還元酵素 / Apolipoprotein B100 / Apolipoprotein A1 |
研究概要 |
血漿過酸化脂質は血管内皮細胞を傷害することから、アテローム性動脈硬化症などの原因の一つと考えられている。我々はヒト血漿には血漿グルタチオン・ペルオキサダーゼ以外にも過酸化脂質を代謝する新しい酵素が存在することを証明して来た。本研究では(1)この酵素の本体を解明すること、(2)妊娠中毒症やアルツハイマー病などにおけるこの酵素の臨床的役割を解明することを目的とした。 ヒト血漿より過酸化脂質(特に合成基質である1-パルミトイル、2-リノレオイル、フォスファチヂルコリンの過酸化物)の還元活性を指標としてこの酵素を精製していくと、3つのピークに分離し(ピークA、B、C)、ピークBがApolipoprotein B100、ピークCがApolipoprotein A1であることが判明し報告した。ピークAについても精製を試みたが更に多数のピークに分離してしまい、さらなる精製は困難であった。この過酸化脂質還元活性がリポタンパク質の構成成分であるアポリポプロテインであることが判明したことから、酵素的に過酸化脂質を還元しているのではなく、化学量論的に還元している可能性が考えられた。還元の分子機構については特にメチオニンの硫黄原子が関与している可能性が考えられた。そこでメチオニンを含む合成ペプチドを用いて解析したところ、過酸化脂質の還元に伴って、アポタンパクの構成アミノ酸であるメチオニンが酸化されてメチオニン・スルフォキサイドに変換されていることが判明した。このことは血漿中で酸化されたアポタンパクが存在する可能性を示しており、また酸化LDLなどの本体である可能性が示唆された。以上のことから、この血漿過酸化脂質還元活性の臨床的な役割の解明には、総体としての活性を正確に測定する必要性が考えられ、本研究でその測定法を開発した。確立された活性測定法を用いて妊娠中毒症11例、正常妊娠者52名、男性不妊症患者18名、腎不全患者24名、糖尿病患者34名などその病態に血漿過酸化脂質の関与が疑われている疾患について測定した。その結果、特に腎不全、糖尿病患者ではこの活性が約1.5倍にまで上昇していることが観察された。このことから、この活性がこれらの疾患の病態に強く関与していることが示された。
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