研究課題/領域番号 |
10670151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病体医化学
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研究機関 | 国立小児病院(小児医療研究センター) |
研究代表者 |
綱脇 祥子 国立小児病院, 小児医療研究センター・感染症, 研究員 (00211384)
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研究分担者 |
藤井 博匡 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (70209013)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 活性酸素 / 活性酸素生成酵素 / NADPHオキシダーゼ / グリオトキシン / アスペルギルス / 好中球 / 慢性肉芽腫症(CGD) / cytochrome b558 / gp91 / フラビン |
研究概要 |
食細胞の活性酸素生成酵素(NADPHオキシダーゼ)は、細胞膜因子とサイトゾル因子からなる複合酵素系であり、感染防御に於いて重要な役割を演じる。慢性肉芽腫症(CGD)は、これら構成因子に於ける変異症であり、反復感染を繰り返して致死的である。 1)細胞膜因子gp91は、NADPHオキシダーゼの酸化還元中心であり、その分子内にヘムと同時にFADを持つとするフラボシトクムロ説が唱えられていた。しかし、この説は、gp91と他のフラビン酵素とのアミノ酸ホモロジーに基づいただけであり、直接の証明は無かった。その最大理由はgp91変異の殆どが、蛋白質自身の欠損に繋がるためである。我々は、gp91アポ蛋白質が発現している極めて珍しいCGD患者を発見した。cDNA解析の結果、患者のgp91は、His-338がTryに置換した点突然変異であり、この位置は仮想FAD結合領域に存在していた。生化学的解析の結果、患者のgp91は、完全にFADが枯渇しており、無細胞系で試薬FADを添加しても、活性酵素生成活性は回復しなかった。以上の結果は、His-338が、NADPHオキシダーゼのFAD結合にとって重要な残基であること、つまり、フラボシトクムロ説を初めて証明したことになる。 2)活性酵素生成機構の解析は精力的に行われ、蛋白質分子レベルに於ける詳細な検討がなされている。しかし、その制御機構、特に、病原因子との係わりに注目して解析された例はない。我々は、アスペルギルスの主要病因子であるグリオトキシン(GT)のNADPHオキシダーゼに対する影響を検討した。分子内にS-S結合を持つGTは、NADPHオキシダーゼの活性化段階を阻害した。しかし、一旦活性化された酵素の触媒活性は、影響を受けなかった。この阻害様式は、GT内のS-S結合が、NADPHオキシダーゼ中のvicinalSH基と直接反応した結果であることが示唆された。
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