研究課題/領域番号 |
10670157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山邉 博彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (00135592)
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研究分担者 |
桜井 孝規 京都大学, 医学研究科, 助手 (10268625)
豊國 伸哉 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90252460)
猪股 裕紀洋 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50193628)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 移植 / 生体肝移植 / ABO血液型不適合 / 拒絶反応 / 肝動脈血栓症 / 胆管炎 |
研究概要 |
平成2年6月から平成10年12月末までの8年7ヶ月間にタクロリムス免疫抑制下に行った血縁者間の生体部分肝移植423例(412患者)のうちのABO血液型不適合移植症例53例(51患者)について、移植後の肝機能障害時の病理組織学的検討を行い以下の結果を得た。 (1)超急性拒絶反応は見られなかったが、症例の7%に肝動脈血栓症が、38%に急性/慢性胆管炎が、59%に急性細胞拒絶反応が、2%に慢性拒絶反応が、2%に臓器保存・再灌流障害が、25%に急性肝炎が、8%に慢性肝炎が、6%に移植後リンパ増殖性疾患がそれぞれ見られた。(2)肝動脈血栓症、急性/慢性胆管炎および急性細胞性拒絶反応の頻度はABO血液型一致または適合移植症例に比較して高かった。(3)肝動脈血栓症および急性/慢性胆管炎は移植前後の抗血液型抗体価の高い症例に高頻度に発生したが、急性細胞性拒絶反応では抗血液型抗体価との関連は見られなかった。(4)移植後41.5%(22例)において患者が死亡し、あるいは移植肝の機能廃絶して再移植を受けた。この頻度はABO血液型一致または適合移植症例に比較して高かった。主な原因は、肝動脈血栓症と急性/慢性胆管炎であった。(5)移植後肝機能廃絶摘出肝の病理組織学的解析にて、これらに見られる急性/慢性胆管炎は肝動脈血栓を背景として生ずる二次的な虚血性胆管炎であると考えられた。 以上のデータから、ABO血液型不適合血縁間生体部分肝移植においては、血管内皮と標的とする抗血液型抗体による抗原抗体反応によって肝動脈血栓症がしばしば発生し、そのため二次的に肝動脈の血流に支配されている胆管に虚血性胆管傷害をきたして急性/慢性胆管炎を高頻度に合併し、移植肝の機能廃絶の原因となることが示された。急性拒絶反応も高頻度にみられたが、これは液性反応と無関係であると考えられた。
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