研究概要 |
びまん性大細胞型Bリンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma,DLBCL)120例について免疫組織学的,遺伝子学的検討を行った。症例の内訳はcentroblastic variant(CB)83例,immunoblastic variant(IB)12例,anaplastic B-cell variant(ALB)18例,T-cell or histiocyte rich variant(TCHR)7例の計120例である。 免疫組織学的にCD^<5+>,CB12/83,IB0/12,ALB0/18,TCHR0/7,CD10^+,CB8/83,IB1/12,ALB0/18,THR0/7,bcl-6^+,CB55/67,IB5/6,ALB3/10,TCHR1/6であった。Epstein Barr Virus(EBV)の感染はEBE-1 RNA in situ hybridizationで検討し、CB5/82,IB0/12,ALB6/18,TCHR1/6に認められた。 遺伝子学的に免疫グロブリン重鎖遺伝子可変領域のsomatic mutationを検討した。variant及びphenotype別に検討した症例数とmutationの分布,平均はCD^+CB(10)0.7-12.9%(6.2%),CD5-CB(31)2.0-25.9%(11.1%),IB(3)5.4-30.2%(13.5%),ALB(9)0-12.5%(8.2%),TCHR(4)6.8-17.0%(10.7%)を示した。また,RT-PCRからβーactin,CD10,PAX-5,RAG-1,alkaline phosphataseのmessageの有無を検討した。検討した14例中β-actinは全例に陽性,CD10 2例,PAX-5 3例,RAG-1 3例に陽性を認めた。alkaline phosphataseのmessageを有する症例は認めなかった。 以上の解析から,CD5陽性DLBCLはB細胞性慢性リンパ性白血病やマントル細胞リンパ腫と同様にCD5陽性B細胞(B1細胞)に由来し,予後不良な特異なDLBCLであることが示された。その他のCD5陰性DLBCLは二次濾胞肺中心(Germina center,GC)を経由するB2細胞に由来するが、このなかには濾胞性リンパ腫のび慢化したものや形質細胞への分化を示すものなど多様な症例が含まれていると考えられる。また、anaplastic B-cell vriantではEBVの関与が示唆される。
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