研究概要 |
T-cell receptor(TCR)β鎖の再構成を示すリンパ腫細胞を形態学的に同定するpolymerase chain reaction(PCR) in situ法を完成させ、パラフィン切片にて数例を試みた。方法はまず、菌状息肉症の新鮮凍結材料を用いて、reverse transcriptase(RT)-PCR法(Yumoto, et al: Virchow Archiv 1995; 425:11)により陽性バンドを確認し、そのバンドをゲルから切り放してsequencingを行い、配列を決定した。その配列より改めてPCR用のprimerを決定し、さらにそのprimer間の配列からin situ hybridization用の標識probeを作成した。こうして新たに作成されたPCR用のprimerとin situ hybridizatioin用の標識probeを用いて、数例の菌状息肉症の生検材料のパラフィン切片にNuonoのプロトコール(PCR in situ hybridization: protocols and applications. Thrid Ed, New York, Raven Press, 1997)に則りTCRβ鎖のPCR-in situ法を施行した。その結果、標本の荒廃が激しいものも陽性所見をえることができた。今後は試行を繰り返し、周縁細胞および組織との関連が検討できうる形態像の保存をめざす。 上記と平行して、顔面に好発して組織学的に悪性リンパ腫との鑑別が問題になることの多いpseudolymphomatous folliculitis(PLF)について、組織学的・免疫酵素組織化学的、分子遺伝学的検索を行い、activated pilosebaceous unitsとT-cell associated dendritic cellsの浸潤パターンより悪性リンパ腫および他の偽リンパ腫との明瞭に区別しうる1つのentityであることを明らかにした。(Arai E, et al: Pseudolymphomatous folliculitis. A clinicopathologic study of cuteanous pseudolymphoma with follicular invasion. Am J Surg Pathol 1999; 23:1313.)
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