研究概要 |
血管平滑筋形質と間質分解酵素発現の関連を検討するため、培養環境(添加血清濃度と細胞密度)改変による形質転換モデルを作成、各種MMPs及びTIMPsの発現(Western blot、ELISA)、Collagen/Gelatin分解活性を測定した。MMP-1及びTIMP-1,2,3、MMP-1/TIMP-1複合体量は、増殖型形質で最大値を示し、MMP-2発現/活性は形質によらず一定していた。間質の合成、分解能は血管平滑筋形質転換に伴って変化する細胞機能であり、コラーゲン分解活性はMMP-1単独ではなく、MMPs/TIMPsのバランスにより規程されると結論した(Connect Tissue Res, in print他)。MMP-1優位状態の解除を目的として、TIMP-1を発現するAdenovirus vectorを作成、in vitro形質転換、in vivoで血管壁リモデリングへの影響を検討している。次に間質量の多寡は、細胞形質を規定する重要な因子で、各種の細胞周期調整蛋白の発現を介して増殖能を制御している。細胞周期調整蛋白サイクリン依存性キナーゼ阻害物質p21 Waf-1の培養細胞および動脈硬化層での発現を免疫染色、Westrn blotとRT-PCRで解析した。その発現は静止期の細胞より、むしろ増殖刺激下で亢進し、細胞周期上のGl/S移行期に認めた。組織でも中膜よりも新生内膜病変で多数の発現細胞を認めた。培養細胞にAdenovirus vectorで同遺伝子導入し、増殖抑制、肥大が観察されたが、収縮蛋白発現量は不変だった。同蛋白は細胞周期の抑制だけではなく、適切な細胞周期の進行に役立っている可能性があると報告した。(Exp Mol Pato1 66,39-52,1999,Heart Vessels 13,246-255,1998他)
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