研究概要 |
宮崎肺吸虫症における熱ショック蛋白質の配列と局在から、以下のことが明らかになった。1)誘導されないハウスキーピングの熱ショック蛋白質(Hsc70)により類似したアミノ酸配列であった。2)マンソン住血吸虫では、宿主の免疫反応によって傷害された寄生虫蛋白質の修復や分解へのhsp70の関与が検討されている。hsc70はマンソン住血吸虫では、細胞内、特にテグメント細胞内に存在する。マクロファージのような細胞内寄生虫であるリーシュマニアでは、hsp70はcytotoxic T細胞の標的を構築するクラス1MHC分子に随伴して現れる。生活史の特定の磁気に発現量の増加は、分化や新しい宿主への順応のために代謝が活発になることの反映と考えられる。in vitroでATP依存性にcoated vesiclesからcalthrin除去を触媒することが明らかである。coated vesiclesは、真核生物で空間を閉じた膜間で蛋白質輸送に関係している。輸送サイクルには、標的膜と顆粒との融合前に、主要コート蛋白であるcalthrinの解離が必要である。coated vesiclesは、フィラリアではまだ記載されていないが、hypodermal cellsにmultivesicular bodiesが認められ、蛋白質の取り込みやcuticular matorixの輸出に関係している(Selkirk et al.,1989)。また、タンパク質の分泌にcalthionもHSP70も関与し(Fine RE,1989;Klein RM & Kelley KB,1993)、このHsp70は、Hsc70であることが知られている(Prasad K et al,1994)。このため、肺に寄生する宮崎肺吸虫の成虫Hsc70は、細胞内、特にテグメント細胞内に存在し、タンパク質分泌や宿主の免疫反応によって傷害された寄生虫蛋白質の修復や分解に関与することが強く示唆された。3)本虫cDNAライブラリの免疫スクリーニングでは、システインプロテアーゼと熱ショック蛋白質が抗原候補物質として検知された。ガン細胞では、内因性ペプチドと熱ショック蛋白質が抗原候補物質として検知された。ガン細胞では、内因性ペプチドとHSP70が細胞表面で結合し、腫瘍拒絶抗原となっていることが知られており(佐藤ら,1994)、本虫でもシステインプロテアーゼと熱ショック蛋白質が混在、結合することによって拒絶抗原として機能していることが考えられる。
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