研究概要 |
平成10,11年度における研究の結果は以下の通りである. 1.線虫感染によりラットの総腸間膜リンパ節(MLN)における総細胞数は14倍に増加し,T細胞数は9-10倍に増えたが,CD4^+T細胞比の上昇からCD4^+T細胞の活性化がより強いことが示された. 2.非感染ラットMLN由来のCD4^+およびCD8^+T細胞ではTh1タイプのIL-2,IFN-γ,TNF-βのmRNA発現が認めたが,Th2タイプのサイトカインであるIL-3,IL-4,IL-5,IL-13の発現はいずれにも認められなかった。 3.感染ラットMLN由来のCD4^+T細胞ではIL-3,IL-4,IL-5,IL-13のmRNA発現が著しく増加した.一方CD8^+T細胞においてはIL-3,IL-5,IL-13の発現が増強されたがCD8^+T細胞におけるIL-4のmRNA発現は認められなかった. 4.胸腺においてCD4^+8T細胞からCD4^+8^-T細胞への分化過程に異常を持つLECラットにおいても線虫感染はMLNにおけるCD4^+T細胞の増加とIL-4mRNA発現を誘導し,その後血中IgE抗体の上昇や小腸,肺におけるマスト細胞数の増加などのTh2細胞反応をが確認された. 5.線虫由来分泌排出(ES)抗原は抗CD3/CD28抗体で刺激したMLN,CD4^+およびCD8^+T細胞によるIFN-γnRNAの転写とIFN-γ産生を濃度依存的に抑制しIL-4,IL-10産生には影響をおよぼさなかった. 6.線虫感染はラット小腸絨毛の萎縮と上皮細胞のアポトーシスを誘導し,病変部上皮細胞におけるES抗原の存在が確認された. 7.ES抗原によるラットCD4^+T細胞およびCD8^+T細胞に対するアポトーシス誘導確認できなかった.
|