研究課題/領域番号 |
10670242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
牧岡 朝夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90119850)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | Entamoeba histolytica / Entamoeba invadens / シスト形成 / aphidicolin / DNA polymerase / SDS-PAGE / イムノブロッティング / cytochalasin D / イムノブロッテイング / cytochalasinD / Entamoeba / アフィディコリン / DNAポリメラーゼ |
研究概要 |
赤痢アメーバのシスト形成のモデルとして重要なEnatamoeba invadensの無菌シスト形成系を用い以下の実験を行った。1.シスト形成とDNA合成との関連:核中DNAポリメラーゼの抑制剤アフィディコリンは細胞周期をS期とG1期の境界で止める作用があることが知られているが、この薬剤処理によりシスト形成が抑制された。アフィディコリンで前処理した栄養型をアフィディコリン存在下でシスト形成させたところ、対照に比し、より強く抑制を受け、シストはほとんど形成されなかった。この結果から、シスト形成の開始前にDNA合成が必要であることが判明した。2.シスト形成過程におけるDNAポリメラーゼ活性:シスト形成に伴い細胞分裂は停止するが、シストの成熟過程で2回の核分裂が起こる。この過程のDNAポリメラーゼ活性を測定した結果、活性の低下が認められ、この過程は減数分裂の過程であることが確認された。3.シスト形成に伴うシスト特異的蛋白質の発現:栄養型からシストへの変化に伴う虫体蛋白の変動をSDS-ゲル電気泳動(SDS-PAGE)及びイムノブロッティングにより調べた。SDS-PAGEにより比較した両者のバンドパターンはほぼ同様であったが、PAS染色によりシストに特異的な250kDaと88kDAの糖蛋白が検出された。抗栄養型抗体により多くのシスト蛋白も免疫染色された。一方、栄養型蛋白で吸収した抗シスト抗体により培養1日目のシストの88kDa蛋白が最も強く染色され、その反応性は2日目以降弱くなった。この88kDa蛋白の局在を調べたところ、不溶性分画に存在しシスト壁との関連が示唆された。4.シスト形成におけるアクチンミクロフィラメントの関与:アクチンの重合阻害剤であるサイトカラシンDのシスト形成に及ぼす効果について調べた。その結果、サイトカラシンDは栄養型の増殖を抑制するとともにシスト形成をも抑制した。サイトカラシンD存在下で培養した栄養型は多核になり3核以上の核を持つ虫体は71%に達した。また、多核になった栄養型は多核のシストを形成した。サイトカラシンDで処理した栄養型のシスト形成は無処理の栄養型に比し、サイトカラシンD存在下ではより抑制され、非存在下では形成率が低かった。これらの結果から、サイトカラシンDによる栄養型の多核化はシスト形成抑制的に作用することが明らかになった。
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