研究課題/領域番号 |
10670248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
太田 敏子 筑波大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40233134)
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研究分担者 |
平田 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40049052)
倉園 久生 岡山大学, 医学部・保健学科, 教授 (90186487)
林 英生 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40033203)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 黄色ブドウ球菌 / ストレス応答タンパク質 / 重金属応答遺伝子czrAB / 薬剤応答遺伝子drp35 / βラクタマーゼ / 酸化ストレス応答遺伝子qor / シグマ因子 / ゲノムプロジェクト / 重金属応答遺伝子 / 薬剤応答遺伝子 / 細胞壁合成阻害剤 / 熱応答プロモーター / シグマ70 / シグマB / 色素産生遺伝子 / agrオペロン |
研究概要 |
常在菌でありながら各種の病原性をもつ黄色ブドウ球菌における各種環境シグナルに応答する特異的に発現するタンパク質の機能について、以下の成果を得ることができた。 (1)代表的熱応答遺伝子の発現はそのオペロン内のレギュレーターhrc37により制御されていることをノックアウト変異株の解析から明らかにした。さらに原子間力顕微鏡(AFM)およびゲルシフト法を用いて、このレギュレーターはオペロン上流のパリンドローム構造に結合することを証明した。 (2)重金属応答遺伝子czrAB遺伝子を見い出した。遺伝子ノックアウト変異株の解析から、は細胞内亜鉛イオンを排出し、一定量に保つ機能をもっていることを明らかにした。しかも、この遺伝子は亜鉛やコバルトなどの重金属だけでなく熱にも応答し、遺伝子上流に定常期に応答するシグマB因子認識型のプロモーターをもっていた。 (3)薬剤応答遺伝子drp35を見い出した。菌体をβラクタム剤を含む細胞壁合成阻害剤にさらすと、drp35は10分以内に転写レベルでもタンパク質レベルでも特異的にその発現が誘導された。また、drp35は細胞質内に局在し、耐性酵素βラクタマーゼの膜輸送に関与していることを明らかにした。ノックアウト変異株および、遺伝子相補株を作成して解析したところ、遺伝子破壊株は、明らかに検討したすべてのβラクタム剤に対して感受性となった(遺伝子特許申請中)。 (4)酸化ストレス応答遺伝子qorオペロンを見い出した。qurオペロンは生育に必須な遺伝子である。クローニングした遺伝子qorABは、過酸化水素やメナジオンなどの酸化剤に応答し、熱ストレスに対しても応答した。ノックアウト変異株を作成することを試みたところ、組換え体が得られないことから、qor遺伝子は致死遺伝子である可能性が高い。過剰発現系を構築して、親株との生理活性の比較を検討している。 (5)定常期に発現する遺伝子を転写するシグマBに着目して、sigBノックアウト変異株および遺伝子相補株を作成し、このシグマ因子支配下にあると考えられている各種毒素遺伝子の発現を転写およびタンパク質レベルで調べたところ、毒素遺伝子は必ずしもシグマB因子支配によらないことを示した。sigB過剰発現株でさらに確認する必要がある。 (6)バンコマイシン耐性MRSAのゲノムプロジェクトを立ち上げ、現在そのシーケンス解析が進行している。この成果により、研究の飛躍的な展開が期待される。
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