研究概要 |
本研究では,M.avium complex誘導マクロファージ(MAC-MΦ)の標的T細胞との細胞間接着を介するsuppressor活性発現メカニズムについて検討した.その結果,MAC-MΦを固定したり,cytochalasin Bなどの処理細胞膜機能を抑制させると活性発現が著しく低下するこから,MAC-MΦのsuppressor活性発現には細胞膜機能が重要である,MAC-MΦの活性発現や標的T細胞との結合能は抗B7-1抗体によりブロックされること,ならびにMAC-MΦではB7-1発現増強がみられることより,MAC-MΦから標的T細胞へのsuppressorシグナルの伝達にはMΦのB7-1分子が重要である,MAC-MΦからの細胞間接触を介しての抑制性シグナルを受けた標的T細胞ではConA増殖性応答が阻害されるが,PMAとCa^<2+>ionophoreに対する増殖性応答は影響されないことから,MAC-MΦの抑制性シグナルはT細胞のPKC活性化以前のシグナル伝達系にcross talkしていると考えられる,標的T細胞を抗CD28,抗CTLA-4抗体でブロックしてもMAC-MΦのサプレッサー活性は阻害されず,MAC-MΦのB7-1分子に対する標的T細胞の側のレセプターは,CD28やCTLA-4以外の未知の分子である可能性がある,MAC-MΦの抑制性シグナルのT細胞への伝達はMΦのB7-1分子のCTLA-4Igによるブロッキングでは阻害されず,MAC-MΦの抑制性シグナル伝達にかかわるB7-1分子は,新しい型のisoformに属す可能性がある,T細胞のlysate中にB7-1との特異的結合能を有する31kD蛋白が検出されたが,このものはその分子量からみてCTLA-4と並ぶ新たな抑制性シグナルのレセプターとして最近発見されたPD-1に相当するものと考えられる,マウス脾細胞にもPD-1分子の発現が認められたが,ConA刺激に応答してその発現がup-regulateされる,MAC-MΦとの混合培養により抑制性シグナルを受け取った脾T細胞では,ConA刺激に応答してのPKCの活性化と細胞膜へのtranslocationが抑制されることなどが明らかになった.
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