研究概要 |
1.pp65/plastin各イソフォームのcDNA,遺伝子組み替え型タンパク質および高親和性抗体の作製:マウスpp65/L-plastin cDNAをpET vectorに組込み,大腸菌に組替え型pp65/L-plastinを発現・精製し,抗血清を調製した。T-plastinのcDNAをクローニングした。 2.情報伝達系に関して:pp65/L-piastinのリン酸化部位は申請者が決定し,報告した。この部分の合成ペプチドを用いたリン酸化実験からL-plastinリン酸化酵素を部分精製したところ,このリン酸化酵素が既知のものとは異なることを明らかにした。 3.感染に関して:我々は,LPS刺激でマクロファージ内で強くリン酸化されるpp65/L-plastinを同定し,リン酸化部位(Ser-5)を決定したが,最近,この部位のリン酸化がintegrin/Mac-1を介した細胞接着を制御していることが明らかにされた(Jones,S.L.,PNAS,1998)。C3H/HeNマウスにS.typhimurium LT2Aをi.P.接種すると感染4日頃から著明な脾腫(重量で正常脾の2-3倍)が認められた。脾腫を人為的に抑制すると,マウスはより高率に感染死したことから,脾腫は感染防御的反応と考えられた。感染後,脾臓中のT,B細胞総数には変化がないが,Mac-1+細胞は25倍に増加した。脾臓に移動・増殖し,そこにMac-1+細胞が流入・定着することが脾腫の主因と考えられた。in vitroでLPS刺激すると,Mac-1+細胞中でSer-5を含む合成基質に対するリン酸化酵素活性が上昇すると共に,細胞の接着性が亢進した。Mac-1欠損マウスが感染死し易いこと(Rosenkrahanz,AR.,J.Immunol.,1998)からもpp65-Mac-1系の感染防御での重要な役割が強く示唆された。
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