研究課題/領域番号 |
10670274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
吉田 友昭 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (70210705)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 志賀毒素 / 血管内皮 / アポトーシス / 溶血性尿毒症症候群 / 腸管出血性大腸菌 / インターフェロン / Caspase / ヴェロ毒素 |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌0157感染において、志賀毒素(Stx-1/-2)による血管内皮の傷害が溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症に重要と考えられている。しかし、従来、ヒト由来の血管内皮細胞を用いたin vitroでの実験系では志賀毒素は細胞傷害を観察することが困難であった。我々は、新鮮なヒトの臍帯から内皮細胞を新たに培養することによって、培養早期は毒素に感受性があるが、1週間という短期間の継代で毒素に抵抗性となることを見いだした。そこに今までin vitroでの実験系が樹立し難かった原因の一端があると考えられる。またその細胞傷害には、毒素のタンパク合成阻害作用と独立してapoptosisが関与していることを証明した。すなわち、(1)ヒトの臍帯静脈内皮細胞、臍帯動脈内皮、大伏在静脈内皮のいずれも、初代培養ではStx-1/-2に高い感受性を示し(CD_<50>:0.5〜10pM)、その細胞傷害はannexin V陽性、TUNEL陽性の細胞種の出現を伴うapoptosisであった。(2)その高感受性は内皮細胞の継代期間を経ると急速に減少し、どの細胞系でも継代2週間後には1000倍以上の濃度のStxにも抵抗性を示すとともに、さらに高濃度のStxで傷害を誘導してもapoptosisは観察されなかった。(3)Stx-1の結合量は継代とともに減少していたが、その変化の程度は約1/10でありこのような抵抗性を説明できるものではなかった。(4)Stxはリボゾームレベルでタンパク合成を阻害することが解っている。2.5mg/mlのcycloheximideは30pMのStx-1より強く内皮細胞のタンパク合成を抑制するにもかかわらず、18時間培養してもapoptosisの所見は認められなかったことから、タンパク合成阻害以外の機序の関与が示唆された。さらに、細胞傷害のapoptosisのメカニズムについて、(5)ミトコンドリアの脱分極やFas分子などによらない、ユニークな何らかのメカニズムでStxがcaspase-3を活性化する。それに対応して、阻害剤で細胞傷害が抑制された。(6)apoptosisを抑制するbcl familyの分子のうち、bcl-xLが継代を経た細胞において増加しており、これがStxに対する抵抗性の一因と考えられた。また、(7)継代培養時の血清の存在が重要であることが推測されていたが、無血清条件で種々の増殖因子やサイトカインの効果を調べたところ、EGFや IFN-αがStx抵抗性を誘導することがわかった。
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