研究課題/領域番号 |
10670325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
今井 常彦 東邦大学, 医学部, 講師 (90104215)
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研究分担者 |
塚本 昭次郎 日本大学, 総合科学研究所, 教授 (90059296)
大本 美彌子 東邦大学, 医学部, 教授 (20057491)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | エタノール / 腎 / カルシウム / 骨 / 尿 / マグネシウム / 骨粗鬆症 / 等カロリー / 結合型エタノール / 免疫組織化学 / 尿中ミネラル / 軟X線 / 組織 |
研究概要 |
観察方法: 実験動物としてFisher系雄性ラットを用い、実験群は I群 (エタノール投与群・Tr群) : 市販粉末飼料 (CE-7・日本クレア社製) の自由摂取、および16%エタノール水(日本酒)自由摂取。 II群 (対照群・Cont群) : エタノール投与群の前日摂餌量と同量の粉末飼料および摂取エタノールと同等カロリーのグラニュー糖摂取。飲料水は水道水自由摂取。 III群 (無処置群・Int群) : 粉末飼料の自由摂取および飲料水は水道水の自由摂取の3群とした。 結果: 本研究におけるラットのエタノール1日摂取量は、ヒト1日摂取量に換算すると約1.2g/kg(日本酒で約2〜3合)に相当すると考える。 尿中ミネラル排泄は、わずか1週間のエタノール投与において、カルシウムやマグネシウムなどに有意な排泄増加が観察された。より長期のエタノール摂取においても同様にミネラルの有意な尿排泄増加が観察された。腎の組織学的観察からも1週間投与時には、メサンギウム細胞の増殖、尿細管上皮細胞の腫脹、尿細管上皮細胞の壊死、うっ血。3ヵ月間投与時には、糸球体の腫脹、糸球体内PAS陽性物質付着、メサンギウム細胞の増殖、傍糸球体細胞の増殖、尿細管上皮細胞の腫脹、尿細管上皮細胞内硝子様滴の貯留、塩基性尿細管の出現。29ヵ月間投与時には、糸球体の腫脹、傍糸球体細胞の増殖、間質の線維増殖、塩基性尿細管の出現がそれぞれ有意に強度であった。以上より、エタノールは腎の機能および組織に影響をおよぼすことが明かとなった。 しかし血清中カルシウム量はエタノール群と対照群の間にまったく差が見られなかったこと、すでに我々が報告しているエタノール摂取により血清中1α, 25 (OH)_2D_3が有意に増加していることから、血中のカルシウム濃度を維持するため、骨中のカルシウムが遊離し血中に移行しているものと考える。その結果として、投与29ヵ月時におけるの大腿骨のX線像は淡影化、骨皮質の菲薄、骨梁の菲薄等の骨粗鬆症様所見が観察された。以上より、これら骨変化はエタノールの腎影響の二次影響と考える。以上より、肝障害を来さない程度の長期エタノール摂取においても腎影響は観察され、その二次影響として骨影響も認められたことから、少量飲酒であっても長期飲酒者には腎および骨影響に注意をはらうことが必要であると考える。
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