研究概要 |
いくつかのオフィスビル等の室内とその建物の近傍の外気を測定対象としてホルムアルデヒドおよびVOCsの実態調査,測定方法間の比較,そして対策としてのベイクアウト等を実施しその間のホルムアルデヒドおよびVOCsの変化を測定した。 その結果,以下のような結果と今後への課題が認められた。 郊外の一般環境中のトータルVOCsレベルは数10μg/m^3,ホルムアルデヒドは10μg/m^3前後,また,都心部の一般環境中のトータルVOCsレベルは数100μg/m^3,ホルムアルデヒドは10μg/m^3前後であった。また,新築ビルオフィス等でのトータルVOCsレベルは数100μg/m^3〜数1,000μg/m^3,ホルムアルデヒドは数10μg/m^3レベルであった。また一般のビルオフィス等でのトータルVOCsレベルは数100μg/m^3,ホルムアルデヒドは数10μg/m^3レベルであった。外気と室内資料空気中濃度を比較して,発生源と思われる室内材および都心部の外気による影響と思われる比較的高濃度のVOCsおよびホルムアルデヒドが確認された。 新築ビルのオフィス内のVOCsやホルムアルデヒド濃度を低減化し健康リスクを低くするために用いられているベークアウトは,一定の効果は認められる場合はある。しかし,その効果が完全なものではないため,やはり換気等の指導の徹底が必要と思われる。 VOCsの連続的測定機器が開発され,今回の調査からもその使用条件を把握した上であれば,新築ビル内オフィスや新築住宅などでの対策のための測定は有効といえる。今後データ数を増やし現場適用実例を検討すべきと考えられる。 しかし,VOCsあるいはホルムアルデヒドのどの化学物質が現在問題となっている「化学物質過敏症」あるいは「シックビル・シックハウス症候群」の原因であるかについては本研究でも明らかにすることはできなかった。今後,特にこの点は継続すべきであるといえる。
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