研究分担者 |
根本 健 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40267571)
高田 綾 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30245196)
斎藤 一之 (齋藤 一之) 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10215535)
篠塚 達雄 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70095610)
木戸 啓 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (60021440)
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研究概要 |
LDLR多型と法医領域における致死的病態との疾患関連性について,AmpliType PMキットのLDLRをマーカーに用いて検討した.剖検例(274名)を外因死群と内因死群に分け,両群のLDLR遺伝子型分布を比較したところ,内因死群のLDLR AA型の頻度が,外因死群に比べ高い傾向を示した(P=0.0114).また,死因分類別のLDLR遺伝子頻度の比較では心・大動脈疾患群のLDLR Aの頻度が高頻度の傾向を示した(P<0.025).とくに同疾患群内の急性大動脈解離と虚血性心疾患のLDLR Aの頻度が高く,両疾患の発生になんらかの遺伝的なLDLレセプターの異常が関与している可能性が示唆された.そこで,DNA多型が致死的病態との疾患関連性があるなら,加齢によりその多型分布にも変化がみられる可能性があると考え,症例を増やし検討した.その結果,剖検事例群を0〜29歳群(n=113),30〜59歳群(n=127),60〜91歳群(n=111)の3群に分け,年齢別の各遺伝子型分布を比較したところ,GYPA,HBGG,D7S8およびGC多型では有意差は認められなかったが,LDLR多型は,3群間および0〜29歳群と60〜91歳群の2群間での遺伝子型分布に有意差を認めた(P=0.024,P=0.013). 以上,LDLR多型の加齢に伴う遺伝子頻度の推移の原因は,LDLR-Aが関節的な連鎖マーカーとして,致死的病態と何らかの関連性を持つことに起因し,高齢者群のLDLR-Aが淘汰され,高齢者群のLDLR-A頻度が低頻度の傾向を示したものと示唆された.
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