研究概要 |
1.薬効成分の受容体(情報伝達系の調節因子)の分離精製: 臨床に用いられている坑炎症剤の一つグリチルリチン(GL)の生体内および細胞内GL結合性因子(GLの受容体、gbP)を明らかにする目的でGl-affinityカラムを作製し、アレルギーは発症時の患者血清やリウマチ患者の関節液より各種gbPを直接精製した。精製gbPのアミノ酸配列の解析から、(1)アラキドン酸代謝系の関連酵素、(2)シグナル伝達調節因子、(3)転写調節因子である核内ステロイドホルモンreceptor、さらに(4)血清成分のgbPとして補体成分C3などを同定した。 2.薬効成分と関連化合物によるgbPの生理作用に関する解析結果: 精製された受容体(gbP)の生理活性に対する坑炎症剤および坑アレルギー剤の選択的作用についてin vitroで解析した。さらに、抗アレルギー作用を示す天然薬効成分を検索した。その結果、各種坑炎症剤(サポニンやステロイドホルモンなど)、フラボノイド化合物(EGCG,カテキンやエルセチンなど)、そして放射菌から分離した塩素を含むpolyphenol系化合物8-chloro-3'、4'、5,7-tetrahydroxyisoflavone(8C-3',4',5,7-THI)などはprotein kinase(CK-II)によるリン酸化によるGL結合性LOXやPLA2の活性化を選択的に阻害することを明らかにした。 3.薬効成分に感受性因子の検索に関する解析結果: リウマチ患者およびアトピー性皮膚炎の小児患者の血清中に通常の検出法では検出不可能な微量gbP(p96,p54,p31,p14,p7およびp6など)の存在を明らかにした。これらの精製gbPのアミノ酸配列の解析から、p96(LOX)、p54(hyaluronidase)、p31(HMG-1)、p14(sPLA2-IIA)およびp7(cymokine)などを同定し、定量的assay法を確立させた。
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