配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究は,間質性肺炎例血清に見出された抗KS(asparaginyl-tRNA synthetase:AsnRS)抗体の臨床的意義とその対応抗原の分子免疫学的性状を追究した。 【方法】(1)慶大および共同研究施設の多発性筋炎・皮膚筋炎,SLE,強皮症などの膠原病および間質性肺炎患者約2500例を対象とした。(2)自己抗体とその対応抗原は,二重免疫拡散法(ID),免疫沈降法(IPP),アミノアシル化反応抑制試験で分析した。(3)抗KS抗体陽性例および患者,健常人コントロール末梢血白血球より抽出したgenomic DNAを用い,PCR-RFLP法で,同抗体産生と関連するHLAクラスII遺伝子を分析した、(4)抗KS抗体陽性例の臨床免疫学的特徴を検討した。 【結果】(1)皮膚筋炎2例,間質性肺炎6例血清が既知抗ARS(HisRS,ThrRS,AlaRS,GlyRS,IleRS)抗体とは異なるtRNA^<Asn>と65kDa蛋白を沈降し,AsnRS活性を特異的に抑制し,他の19種類のARSのアミノアシル化反応を抑制しなかった。(2)抗KS抗体は,IDで既知5種類の抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体とは異なる免疫学的特異性を示した。(3)抗KS抗体陽性血清とそのIgGは,抗PL-12抗体がtRNA^<Ala>を免疫沈降したのに対し,脱蛋白したtRNA成分と反応しなかった。(4)HLAを検索し得た日本人4例全例がDR2(DRB1^*1501/1502)を持っていた(健常人コントロール:33%)。(5)7例(88%)に間質性肺炎を認めたが,筋炎は2例(25%)であった。多発性関節炎を4例(50%),レイノー現象を1例(13%)に認めた。 【結語】抗KS抗体は,AsnRSに対する新たな自己抗体で,「抗ARS抗体症候群」に特徴的な臨床像を示したが,とくに,抗AlaRS抗体と同様に間質性肺炎と密接に関連していた。また,同抗体産生とHLA DR2との関連が抗AlaRS抗体と同様に示唆された。この結果は,同抗体の関連病態に対するHLAクラスII遺伝子の関与を示している。今後,同抗原のT細胞認識機構の解明が,同抗体産生機序の追究に必要と考えられる。
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