研究概要 |
我々はモルモット壁細胞を用いてパッチクランプ全細胞記録法の実験を行い、胃壁細胞にET_B受容体に共役するMaxi-Cl^-チャネルとpH感受性のMini-Cl^-チャネルをみいだした。10年度の研究においてCl^-チャネル蛋白をコードするmRNAが胃上皮細胞に発現しているかことを明らかにした。さらにモルモット胃上皮細胞よりcDNAライブラリーを作製し、モルモットCLC-2クロライドチャネルのcDNAの全シークエンスを決定し、このCLC-2の機能的発現をXenopus oocytesでの発現系とCHO細胞での発現系で行いパッチクランプ法によりCl^-チャネル電流の解析を行なった。しかしながら、その結果は今までに電気生理学的に確認されているチャネル電流の発現は見られなかった。次に、チャネル蛋白の遺伝子が壁細胞に発現しているかを検索するため、モルモット壁細胞を分離し、CFTR,CLC-2,3,4それぞれのmRNAがどのように発現しているかをRT-PCR法により検討したが単一バンドは観察されなかった。11年度の研究ではさらに単一細胞における遺伝子発現の解析を行うため、パッチピペットに単一壁細胞の細胞質を吸引しこの材料にRT-PCR法を適応した。ポジティブコントロールとして用いたモルモット小腸単一細胞ではG3PDHのmRNA発現が確認されたが、単一壁細胞におけるClチャネル遺伝子の発現は認められなかった。しかしながら、ガストリン受容体、H_2レセプター遺伝子の発現は一部の壁細胞で確認されており方法によるもんだいとは考えられなかった。我々が手がけている小腸細胞では電気生理学と分子細胞学的結果の解離が細胞の分化段階の差異によることがあるという事実から考えて、壁細胞自身にも種々の分化段階があり、そのことがこのような結果を示していると考えられた。
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