研究課題/領域番号 |
10670472
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻 晋吾 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40301262)
|
研究分担者 |
澤岡 均 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303937)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 胃 / 上皮細胞 / 細胞死 / 分化 / 増殖 / シクロオキシゲナーゼ / 短鎖脂肪酸 / シクロオキシゲナ-ゼ |
研究概要 |
本研究では各種胃粘膜上皮細胞株ならびに胃組織標本を用い、胃腺管の形態形成ならびに分化に関与する因子に検討を加えた。 まずretinoic acids、短鎖脂肪酸等の分化誘導・形質転換能について検討したところ、前者には有意な形質転換作用は見られなかったが、短鎖脂肪酸にはRGM1細胞に対する分化誘導作用があり細胞形態の変化とともに粘膜顆粒の発生をみた。GSM細胞においてはこれに加え細胞がアポトーシスに陥った。そこで短鎖脂肪酸を周期的に負荷し分化した細胞のクローニングを試みたが、これらの細胞は短期間の培養後に死滅することが判明した。現在この細胞死の機構について検討を加えつつある。 短鎖脂肪酸の分化誘導能はCOX-2の過剰発現により解除される。ヒト胃癌切除組織を用いた検討ではCOX-2の過剰発現が全体の約8割に見られ、このCOX-2の過剰発現が癌の発展度に有意に関連した。一方、癌周辺の背景胃粘膜ではほぼ全例にCOX-2の発現が検出され、この発現はH.pylori感染または腸上皮化生に関連していた。健常者胃粘膜生検組織においてはH.pylori感染者では感染胃粘膜に、非感染者では腸上皮化生部にCOX-2の発現がみられることから、本因子が胃にかける分化誘導異常に関与する可能性が示唆された。そこで三次元培養系を用い胃上皮細胞の腺管形成能に対するCOX-2の役割に検討を加えた。本モデルではTGFα、HGFにより管腔を有する腺管形成がおこり、これはCOX-2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドやCOX-2阻害剤により制御されるが、COX-1アンチセンスでは制御されない。これらの結果より胃上皮の形態形成には本因子が重要な調節因子として機能していることが明らかにされた。現在ガストリンやある種の抗潰瘍剤に本因子を誘導する作用があることが判明したおり、これらの薬剤の効果について検討しつつある。
|