研究概要 |
【組織発生】 通常のadenoma-carcinoma sequenceに加え,近年hyperplasia-serrated adenoma-carcinoma sequenceが注目され,serrated adenomaの前癌病変としての臨床的意義が注目されているが,その病理組織診断ではhyperplasiaとの鑑別が難しいことも多々ある。テロメラーゼ構成蛋白の一つであるh-TERT(human telomerase reverse transcriptase)のmRNAの発現をIn Situ Hybridization(ISH)にて解析したところ,hyperplasia,serrated adenoma,carcinoma各々での発現率は0%,60%,83%であり,h-TERTはhyperplasiaとserrated adenomaの鑑別に有用なマーカーと成りうることが示唆され,serrated adenomaはすでに腫瘍としての形質を獲得した病変であることを明らかにした。 【浸潤・転移】 免疫組織学的解析手法を用いて,VEGF familyのひとつでありリンパ管新生に関与しているとされるVEGF-Cの大腸進行癌浸潤先進部での発現が,CD34により評価した血管密度(血管新生)親密な関連を示しながら転移・予後と有意に関連していることを明らかにした。また,Glucorse transporter 1(GLUT-1)の大腸進行癌浸潤先進部での発現が,転移・予後と密接な関連を有していることを明らかにした。
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