研究課題/領域番号 |
10670485
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中牟田 誠 九州大学, 医学部, 助手 (00294918)
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研究分担者 |
岩本 裕昭 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70274438)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 肝線維化 / 肝硬変症 / 肝伊東細胞 / スーパーフィブロネクチン / フィブロネクチン / 細胞外マトリックス / 細胞骨格 / ROCK / 伊東細胞 / 肝癌 / Rho / 細胞内骨格 / シグナル伝達系 |
研究概要 |
肝硬変症はウイルス肝炎、アルコール性肝炎等における肝線維化の終末像であり、我が国における一大国民病であることは衆知の事実である。従って肝硬変症の予防・治療は極めて重要な課題である。肝線維化の中心的役割を果たしているのが肝伊東細胞である。本研究においては、フィブロネクチンIII1-Cフラグメント、スーパーフィブロネクチン(フィブロネクチンとIII1-C フラグメントとの重合物)、RGDペプチド(インテグリン結合モチーフ)を各々作製し、伊東細胞の活性化、増殖、コラーゲン産生等に対する抑制効果を検討し、肝線維化・肝癌に対する予防・治療の効果及び肝線維化の機序を検討した。 III1-Cフラグメント、RGDペプチドを添加すると用量依存的に肝伊東細胞の増殖、I型コラーゲンの産生、RT-PCRによるI型コラーゲンmRNAの発現の抑制がみられ、さらにインテグリンからのシグナル系に重要な働きをFAKのリン酸化が抑制された。また、細胞内骨格ストレスファイバーの発現の低下をもたらした。スーパーフィブロネクチンの作製に関しては、種々の条件下での実験を重ねたが、定量的に作製するのは困難であり、現在まだ作製中の段階である。一部作製できたスーパーフィブロネクチンを用いた実験ではIII1-Cフラグメントと同様に伊東細胞の増殖抑制、I型コラーゲンの産生の抑制を認めた。これらの結果はRho-ROCK系が肝線維化に重要な役割を果たしているこを示唆しており、肝伊東細胞におけるRho-ROCK系について検討した。Rhoの特異的阻害薬であるボツリヌス毒素C3、及びROCK阻害薬Y27632は肝伊東細胞の増殖、I型コラーゲンの産生を抑制した。同時にストレスファイバーの抑制・消失をもたらした。更に、Y27632に添加時、MAPkinaseであるErkのリン酸化が抑制され、ROCKの下流にMAP kinaseが存在する可能性が示唆された。更に、ジメチルニトロサミン肝線維化モデルラットにおいてRGDペプチド、Y27632の効果を検討した。両者ともに肝線維化(率)、肝ヒドロキシプロリン含量を著明に抑制した。ジメチルニトロサミンによる体重減少、肝重量の減少も抑制された。肝におけるI型コラーゲンの発現も著明に抑制された。いずれも単独では肝障害等の明かな副作用は認められなかった。更に、RGDペプチド投与により肝組織中のコラゲナーゼ活性の有意な上昇が認められた。今後Rho-ROCK系が肝線維化・肝癌治療の新たなる標的となるものと考えられた。
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