研究概要 |
平成6年度より9年度にかけて,33症例の胃癌切除標本についてCGH(Comparative Genomic Hybridization)解析を行い,胃癌細胞の分化度(分化型,未分化型),進行度(stage分類)により,遺伝子異常に相違があることが示唆され,Clinical Cancer Research vol.3 : 1067-1076,1997に発表した.平成10年度より内視鏡的に採取した胃原発悪性リンパ腫(MALToma)検体について,H.pylori除菌前後でのCGHを用いた遺伝子発現異常の検索を行った。H.pylori除菌を施行することにより,肉眼的・組織学的所見が改善する症例と改善しない症例があるが、改善したにもかかわらず,DNAコピー数の異常が残存する症例があることが示された。この結果については第56回日本消化器内視鏡学会総会,第57回日本消化器内視鏡学会総会にて発表し,さらに詳細な解析を行っている.また大腸ポリープ,肝細胞癌,胃の前癌病変などについても平成10年度より解析を開始しており,結果が得られてきている. 胃原発悪性腫瘍における遺伝子異常と比較検討するため37症例の副腎腫瘍についてもCGHを用いた遺伝子異常検索を行ない,悪性度およびホルモン産生能の違いによりDNAコピー数増加、減少領域に相違があることが示唆された.この結果については厚生省特定疾患内分泌系疾患調査研究班分科会 副腎ホルモン産生異常症調査研究班等で発表し,現在投稿準備中である.また口腔扁平上皮癌7症例についてもCGH解析を行いDNAコピー数増加領域(1q、3q、5p、8q、11p、11q、13q、20p)、減少領域(18q)を特定した(口腔外科学会誌45 : 313-316,1999).
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