ヒトにおいて:肝炎患者における血清Human IP-10の濃度は肝炎の病因に関わらず、ALTやASTなど、炎症の強さを示す臨床的なパラメーターと相関して増減した。また、肝生検組織の活動性(Activity)の程度とも良く相関していた。Human MigのELISA systemも作成したが、検出感度が不十分であった。ウイルス性および自己免疫性肝炎患者の肝組織でIP-10のmRNAの局在を検討したところ、IP-10は肝小葉内で浸潤した炎症性細胞の近くに存在する肝細胞に発現することが確認された。Migの発現は今回の検討では確認できなかった。また、血清中のIP-10の値は、肝組織でのIP-10の発現に比例して高値を示していた。直径3cm以下の小さな肝癌と直径5〜10cmの大きな肝癌症例で血清中のHuman-IP10を検討した全例で検出可能であった。(43〜840pg/mL)が、IP-10と肝癌の腫瘍径や腫瘍マーカーとの相関はなかった。また、肝蔵での炎症が強い症例で血清中のIP-10値が高い傾向を示し、非代償性肝硬変症の症例でもIP-10は比較的高い値を示した。。肝臓癌患者の肝組織でIP40およびMigのmRNAの発現と蛋白の表出を検討したが、肝炎症例と違い、少なくとも癌部においては明らかなシグナルは認められなかった。 マウスにおいて:Murine IP-10とMigのELISA systemは、R$Dsystem社の抗体を用いて作成し、mg/mL単位で良好な検量曲線が作成された。コントロールマウスでは測定感度以下であったが、マウスの実験肝障害では、血清中のIP-10とMigの値は肝炎の進展に伴い増加し、肝炎の極期が過ぎると測定感度以下に戻った。マウスの実験肝障害においては、肝組織でIP-10、Migのいずれもが、肝細胞壊死に先立ちそのmRNAが増加することがNothern blot法で示された。さらに、肝組織でIn situ hybridization法を用いてIP-10とMigのmRNAの局在を検討したところ、肝細胞と類洞壁細胞にシグナルが認められた。
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