研究課題/領域番号 |
10670496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
樋口 和秀 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20218697)
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研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40285292)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 胃炎 / Helicobacter pylori / 炎症 / 免疫応答 / T細胞 / サイトカイン / 胃ガン / Costimulatory Factor / 胃粘膜傷害 / 細胞増殖 / アポトーシス / ケモプリベンション / COX-2 / ODC / 食事因子 / リンパ球 / T細胞抗原レセプター / 抗原提示細胞 / 胃粘膜 / 接着分子 / costimulatory factor |
研究概要 |
Helicobacter pylori陽性の胃炎患者の内視鏡下生検組織を用い、リンパ球を分離した。リンパ球のT細胞抗原レセプターVβレパートアーをSSCPにて解析したところ、oligoclonalなものでpolyclonalなものではなかった。これらのことよりH. pyloriの抗原はスーパー抗原ではないことが明らかになったが、各症例で一定のパターンを得ることができず、さらなる抗原の特異性は証明できなかった。次に、抗原提示の観点から、HLA-DR、ICAM-1、B7の発現について検討した。その結果、粘膜内のマクロファージ、樹状細胞にそれらの分子の局在が認あられたが、被蓋上皮細胞の抗原提示細胞としての役割に関しては、HLA-DR、ICAM-1は認められたが、B7の発現はなかった。これらのことより、H. pylori感染胃粘膜において、抗原提示細胞としての役割を果たしているのは、マクロファージ、樹状細胞がその中心であると考えられた。細胞浸潤に関係のあるサイトカイン産生に関して、ヒト血中の単球を単離し、H. pyloriの培養上清液を刺激することによるサイトカイン産生の状態を検討した。その結果、IL-1β、TNF-αの産生が高く、それらは、プロスタグランジンの投与で抑制されることを確認した。H. pyloriが胃粘膜上皮細胞に対して、その増殖を抑制することが報告されているが、本研究の結果、H. pyloriのタンパク量に用量依存的にODC活性の抑制を認め、そのメカニズムの一つとして、ODCを介した可能性が示唆された。また胃癌との関係から、胃炎の増悪に食事性曽因子(とくに魚)が深く関与していることが示唆された。chemopreventionの観点から、COX-2 inhibitorの作用についてヒトで検討を行った。COX-2 inhibitorを長期に内服することにより、H. pylori感染により惹起された好中球の浸潤が抑制され、DNA傷害に関与していると考えられているiNOSの胃粘膜内での局在が減少した。また、H. pylori感染により増強していた胃粘膜上皮細胞のアポトーシスを抑制した。このことから、COX-2 inhibitorはH.pyloriにより惹起された胃粘膜炎症を抑制していることが示唆された。今後、これらの成績をもとに、胃癌の抑制の治療戦略について検討していきたい。
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