研究課題/領域番号 |
10670514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小室 輝昌 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20037386)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | カハールの介在細胞 / c-kit / 消化管 / 微細構造 / 免疫組織化学 / 平滑筋 / 腸管神経 / 蠕動運動 / 小腸 / ICC / 組織化学 / NO / VIP / ラット / interstitial cells of Cajal / enteric nerve / gap junction / ultrastructure / morphology / stomach / intestine / 免疫染色 |
研究概要 |
本研究では、消化管筋層に存在するカハールの介在細胞(ICC)の刺激伝達装置としての機能を解析すると共に、各器官組織層に分布するICCの細胞組織学的分類整理を試み総括した。 *平成10年度には、ICCの標識としてc-kit receptor抗体、gap junctionの検出にはCx43の抗体を用いラット小腸の免疫組織化学的検索を行った。その結果、小腸輪層筋最内側の深部筋神経叢(DMP)に沿ってc-kit陽性のICC-DMPが規則的に観察された。Cx43に対する免疫染色では、深部筋神経叢を含む輪走筋層全体に陽性反応が観察された。また、電子顕微鏡的観察では、平滑筋間相互、ICC-平滑筋間のgap junctionに一致して、Cx43の陽性反応が局在して認められた。ICC-DMPは豊富な神経支配を受けていることから、gap junctionを介した細胞網を通じて、刺激伝達機能の役割を担っているものと推定した。 *平成11年度には、消化管各部位、各組織層の違いによるICCの細胞学的特性を系統的に整理するため、従来の研究成果を補完する微細構造学的検索を行った。その結果、ラットおよびモルモットでは、胃、小腸、結腸を通して、筋層間神経叢部に線維芽細胞に類似したICC-APが認められたが、小腸深部筋神経叢部のICC-DMPと結腸筋層下神経叢部のICC-SMPにはカヴェオラや明瞭な基底膜が観察され、平滑筋に似た特徴が見られた。また、胃および結腸輪走筋層内のICC-CMでは、連続した基底膜は欠くもののカヴェオラは観察されるなど、両者の中間的な特徴が見られた。ICC-DMP、ICC-SMPは勿論、胃、結腸のICC-CMにおいても、平滑筋とgap junctionを形成し、神経終末と密接することから、神経信号のmediatorとして働くものと推定した。 *平成12年度には、消化管のNANC抑制性神経として知られているNOニューロンのICC支配について、ラット小腸を用い、NADPH-diaphorase組織化学により検索した。またVIPについても免疫組織化学的観察を行った。その結果、小腸輪走筋層の全載伸展標本では、深部筋神経叢に沿ってNADPH-d組織化学に陽性の強い反応が観察された。同様に処理した標本の電子顕微鏡観察では、ICCに密接してシナップス小胞を含む反応陽性の終末が観察された。また凍結切片によるVIP免疫染色では、深部筋神経叢に一致して強い陽性反応が規則的に観察された。以上の観察から、ICCはNOニューロンの運動支配を受け、筋とのgap junctionを介して刺激を伝達するものと推定した。また、同一ニューロンにおけるNOとVIPの混在の可能性についても考察した。
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