研究概要 |
日本白色家兎を用い自己血摘出灌流肺を作成し,膜型人工肺を用いて灌流血液の酸素分圧(PO_2)と炭酸ガス分圧(PCO_2)を任意に調節できるようにした。呼気NO濃度(化学発光NO分析器),呼気O_2,CO_2濃度(O_2-CO_2分析器),肺動脈圧を連続測定した。 1) 吸入気酸素濃度と灌流血液PO_2の呼気NO産生量に与える影響灌流血疫PO_2を変化させても,呼気NO産生量に影響を与えなかった。一方,吸入気酸素濃度を100%から0%に連続的に低下させると,呼気NO産生量は,あたかも酸素を基質とした酵素反応の如く酸素濃度依存性に低下した。以上より,気道上皮細胞内のNOは,大気中の酸素を直接受け取り,これを基質として合成されると考えられた。 2) 一酸化炭素(CO)ガス吸入の影響 次に,気道内酸素分圧を保った状態で気道上皮細胞低酸素の呼気NO産生量に与える影響をみるために,任意の濃度のCOガスと20%酸素混合ガスを用い換気した。 研究途中で海外留学することになったため結論には至っていないが,preliminaryな実験結果をまとめると,気道上皮細胞にあるNOS内のヘム蛋白にCOガスが結合し,NO合成が阻害される可能性が考えられた。以上より,気道上皮内一酸化窒素合成酵素(NOS)はある種の0_2センサーとして作用する可能性がある。
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