研究課題/領域番号 |
10670568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
本間 栄 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (20190275)
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研究分担者 |
中田 紘一郎 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員
田中 さゆり 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 肺線維症 / MPO-ANCA / 血管炎 / 病理組織学 / 予後 / 治療 / 肺病変 / 間質性肺炎 / 肺出血 / 細気管支炎 |
研究概要 |
[目的]最近、MPO-ANCA陽性の肺病変には肺線雑症(PF)とびまん性肺胞出血を主体とする2つの群があることが報告され、PFの中には臨床的にも病理形態学的にも特発性間質性肺炎(IIP)、膠原病に伴う間質性肺炎と鑑別の困難な例および予後不良群の存在が注目されている。しかし、その発症、経過、病理形態像、治療法は殆ど不明である。そこで本研究ではIIP、膠原病に伴う間質性肺炎を対照コントロールとし、MPO-ANCA陽性PFの活動性はと血管病変の関連性の有無、予後不良群の原因などを臨床病理学的に解明することを目的とし研究を行った。 [対象と方法]過去7年間に当院を受診したMPO-ANCA陽性患者で肺病変を有する43例{男性21例、女性22例、平均年令65才、MPO-ANCA平均141.7EU(10〜840EU)}を対象とし臨床所見、画像所見を比較検討した。次にPF症例における肺組織を用い線維化病変および血管炎等の肺組織内局在、分布の差を病理組織学的に検討し治療反応性、予後との関連性を比較した。 [結果と考察]肺病変はPF31例(72%)、細気管支炎6例(14%)、肺出血5例(11.6%)、気管支喘息1例(2.3%)であった。PF31例の基礎疾患は多彩でMicroscopic polyangiitisが8例、シェーグレン症候群が4例、強皮症が3例、慢性関節リウマチが2例、皮膚筋炎、強皮症/慢性関節リウマチ、混合性結合組織病、サルコイドージス、再発性多発軟骨炎がそれぞれ1例ずつ、原因不明が9例で14例に腎炎の合併が認められた。臨床所見はPF31例全例に乾性咳嗽、ベルクロラ音がみとめられた。画像は26例に蜂窩肺を伴っていた。PF15例の病理組織像は胞隔炎が全例、小葉間間質などの広義の間質の線維化が13例、蜂窩肺が12例に認められ、5列に気管支動脈あるいは肺細動脈の血管炎を伴っていた。25例が治療され反応性は改善が9例、変化なしが11例、悪化が5例であった。予後は13例が死亡し、死因はPFの急性増悪が5例で2例は肺出血を伴っていた。その他肺癌の合併が2例、細菌性肺炎が4例、消化管出血が2例であった。尚、PFの活動性および肺血管炎合併の有無とMPO-ANCA値の相関は統計学的には明らかでなかった。5年生存率は50%と不良でIIPと鑑別困難な症例も多く、PF症例におけるMPO-ANCA陽性所見は予後不良因子であることが明らかとなった。
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