研究課題/領域番号 |
10670583
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 昭夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (90212761)
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研究分担者 |
長峰 隆 (長峯 隆) 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 発作時DC電位 / てんかん焦点 / 脳電位 / 硬膜下電極 / 脳磁図 / 脳磁場計測 |
研究概要 |
本研究補助金が授与された2年間に次のような成果が得られた。 (1)ヒトのてんかん原性焦点の興奮および抑制過程の生理学的特徴:てんかん発作時には「発生時DC電位」と呼ばれる緩徐な脳波変化が実験てんかんでみられる。これはてんかん焦点に生じる持続性の突発性脱分極変位(PDS)に相当し、てんかん原性焦点における神経細胞およびグリア細胞の機能を反映する。我々は過去に先行研究として、ヒトの難治部分てんかんの焦点での発作時DC電位を脳表面および頭皮上電極から記録して、その臨床的意義を検討した。それにひき続き本研究では、さらに多数例での検討を行い、実際に臨床的評価法としての有用性を明らかにすることを十分考慮に入れてデータの収集と解析を行った。難治部分てんかん6名の患者で焦点切除のために慢性に留置された硬膜下電極から、増幅器の時定数を10秒に設定して89回の発作を記録し解析した。新皮質てんかんおよび内側側頭葉てんかんにおいては、同等に発作時DC電位が記録発作の約80%で明瞭に記録され、その最大部位は従来の脳波記録による発作時焦点と一致あるいはより狭い範囲に認められた。発作時DC電位は発作開始に必ずしも先行せず、むしろ脳波が低振幅速波化した時点に一致した。これは動物実験での発作時の突発性脱分極変位(PDS)の所見によく一致した。また切除された組織所見との対比においてDC電位の出現率と組織所見の種類とには明らかな相関はなく、発作時DC電位はてんかん発作に共通した特に初期の活動であることが強く支持され、臨床的にも有用であると結論できた。一方頭皮上の記録の3名では、特異度は極めて高いにも拘わらず、発作時DC電位の出現率は23%と低く、頭皮上記録の発作時DC電位に関しては今後まだ検討の必要があろう。 (2)てんかん外科に関連する高次大脳機能の評価:難治の部分てんかん患者に対するてんかん手術においては、てんかん焦点の検索と、焦点およびその近傍の脳機能局在の正確な評価が不可欠である。そのため慢性留置の硬膜下電極を用いての高次脳機能の検索を同時に研究した。とくに随意運動の準備・発現における補足運動野の機能、運動決定における補足運動野の機能、側頭葉てんかん患者における事象関連電位の発生源に成果を挙げた。 (3)臨床てんかん学における病態研究:陰性運動現象の発生機序、強直発作の発生機序、海綿静脈洞内脳波の臨床的有用性に成果を挙げた。
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