研究概要 |
1.増強したアシドーシスがいろいろなプロテインキナーゼの活性化に影響することの検証。完全脳虚血後3,5,10分後に脳を凍らせ、脳皮質中のprotein kinaze C(PKC)、カルシウム-カルモデュリン依存性キナーゼ(CamK II) の測定を行った。PKCでは神経細胞に多く存在するγタイプがアシドーシスにより有意に活性化されている結果がえられた。CamK IIは通常の虚血に比して、アシドーシスを増強させてもさらなる変化は見られなかった。(Brain Research 1999, Dec にpublish済み) 2.1.と同様の実験で脳皮質のdiacylglyceride(DAG)とfree fatty acidの変化を測定し、それの変化とRKCの活性化の変化の相関をみた。結果としてはアシドーシスを増強させるとDAGの放出は抑制され、PKCの活性の増強とは結びつかない結果がえられた。逆にPKCの活性が増強されるためfeedback inhibitionがかかってDAGの放出が抑制されている結果と考えられた。(論文執筆中) 3.増強したアシドーシズが脳虚血によるDNAのダメージを増強することの検証。脳虚血後の細胞死のメカニズムを追求し、増強したアシドーシズがネクローシス的およびアポトーシス的な細胞死のメカニズムにどのように関与するかを探るために、脳皮質より、DNAを抽出し、サザンブロットをおこないDNAのfragmentationの量を正常血糖および高血糖ラットにて比較した。アシドーシスを増強させるとDNAのfragmentationの出現も増大することがわかった。これにより、アシドーシスの細胞障害メカニズムにアポトーシスが関与していることが推察された。(論文執筆中)
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