研究概要 |
(1)Interferon-γ(IFN)ノックアウトマウス(IFN-KO)におけるウィルス心筋炎 IFN-KOにencephalomyocarditis virus(EMCV)を接種して心筋炎を惹起したところ,生存率はwild type(WT)に比べ有意に低下した.心重量と肺重量はIFN-KOにて有意に増加し,組織像も炎症所見の悪化を認めた.浸潤細胞のsubsetには差を認めなかった.以上より,IFNはウィルス心筋炎に対し防御的に働いていることが示された. (2)Tumor necrosis factor-α(TNF)ノックアウトマウス(TNF-KO)におけるウィルス心筋炎 EMCV接種後の生存率はWTに比べ有意に低下し,14日以内に全例が死亡した.心筋のウィルス力価とRT-PCRでみたウィルスRNA量はTNF-KOにて有意に高値で,ウィルスの排除にはTNFが必要と考えられた.一方,組織所見ではTNF-KOにおいて炎症細胞浸潤が少なく,ICAM-1・VCAM-1の発現もTNF-KOにおいて少なかった.以上より,接着因子の発現と炎症細胞の動員にはTNFが必要で,TNFを欠くと効果的なウィルスの除去ができないことが示された. (3)Interleukin-1(IL-1)ノックアウトマウス(IL-1-KO)におけるウィルス心筋炎 EMCV接種後の生存率はWTに比べ有意な変化を認めなかった.また,組織所見もWTに比べて有意な変化を認めなかった. (4)IL-6ノックアウトマウス(IL-6-KO)におけるウィルス心筋炎 EMCV接種後の生存率はWTに比べ有意に低下した.また,IL-6-KOの心重量と肺重量は有意に増加し,HE染色による組織像では炎症所見の悪化を認めた.以上より,IL-6はウィルス心筋炎に対して防御的に働いていることが示された.
|