研究概要 |
1 Asn111、Asn295変異の受容体活性の検討 これまで報告されたconstitutively active AT 1 mutantは、我々がin Vitroで作成したAsun111Gly(Biochemistry 35:16435,1996と1997年に報告Balmforth AJらが作成したAsn295Ser(J Biol Chem 272:4245)である。そこで彼らは、Asn111とAsn295は互いに分子相互関係を有していると推定した。しかし、その後の検討(Biochemistry 37:15791,1998,Mol Pharmacol 54:427,1998)でAsn295Serは、constitutively active mutantでないことが判明した。そこで、これまで我々が実験的に明らかにしたアンジオテンシンIIとAT1の結合部位を基に作成したモデルを用いてAsn295に代わるAsn111と分子相互関係を有するアミノ酸残基を第5、6細胞膜貫通領域にて検索した。第5細胞膜貫通領域Phe204、Phe205、Phe206、第6細胞膜貫通領域Phe249、Phe251、Ser252、Trp253、Gln257、Phe259、Phe261の10個の候補アミノ酸残基のアラニンヘの変異は、いずれもconstitutively active mutantではなく、少なくともこれらのアミノ酸残基がAsn111と結合することにより受容体を非活性の状態に維持していないことがわかった。 2 ヒトでの変異AT1受容体のスクリーニング 本能性高血圧症、動脈硬化疾患、冠動脈疾患、心筋疾患、心不全の当院入院および外来患者104名を対象にPCRによるダイレクトシークエンスでAsn111の塩基配列を調べた結果、遺伝子変異は発見されなかった。また、その近傍の遺伝子配列も調べたが、変異は認めなかった。
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