研究概要 |
身長発育は極めて遺伝的に規定されている過程で、長管骨の内軟骨骨化により身長発育の60%がなされる。これは軟骨細胞の増殖・分化・細胞死・石灰化を伴う厳格に設定されている過程である。 1)ビタミンD受容体遺伝子の転写開始点の遺伝子多型によりAC/CG(CC), AC/TG(C/T), AT/TG(T/T)の3型に分けられる。ACG alleleはATG alleleと比し3個アミノ酸の数が少ないビタミンD受容体蛋白をコードすると考えられる。18-20歳の健常女性で,身長とこの遺伝子多型の関係はC/Tの遺伝子型が有意に高身長であった(他の遺伝子型より95%信頼区間で2-5.6cm高値)。 2)PTH/PTHrP受容体ヒト腎臓・骨で有力なP3 promoterのA rich領域にAAAG反復配列多型を発見した。反復配列は3-8回に及び,アリル頻度は5回,6回の順で,遺伝型は5回/6回,5回/5回頻度が多かった。反復配列数が増すとpromoter活性が低下した。頻度の多い遺伝型で検討すると、AAAG反復配列の増加とともに身長が高い傾向を示した(p<0.05). 3)骨長を測定する事による日本人上節・下節比の正常値を設定した.年齢と上節下節比は2次回帰を示すと考えられた。男児の重相関は0.6468,女児は0.4769であった。上節下節比は加齢とともに低下し最終的に一定となる傾向があり,特に女児では12才以降はあまり変化しなかった.また,男児ではおおむね1.1から0.85まで変化するのに対し、女児ではおおむね1.1から0.9と,男児の方が上節下節比の変化の幅が大きかった。従って男女の身長差の一部は下肢長増加差による。今後遺伝子多型との関係で検討する.
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