研究概要 |
1cDNAを発現プラスミドに組み換えてT-47D細胞にトランスフェクトし,限界希釈法で選択して細胞内GPX(C-GPX)の恒常的過剰発現細胞をクローン化した. 2.肥満児では血清中カルボニル化蛋白が高値であった. 3.KNRK細胞ホモジネートにSNAP(NO供与体)を加えるとC-GPXが不活化された.培養液にlipopolysaccharide(LPS)とtumor necrosis factor-α(TNF-α)を添加すると誘導型NO合成酵素(iNOS)が誘導されてNOが発生し,SNAP添加と同様にC-GPXの発現は増加した.KNRK細胞のGPX活性は変動せず,NOによる失活と誘導がバランスして活性が一定に保たれた. 4.血清中細胞外GPX(EC-GPX)と腎C-GPXは肥満ラットで高値,脂肪組織中のC-GPXとEC-GPXは肥満,troglotazoneのいずれでも発現が抑制された.カルボニル化蛋白は肥満で増加しtroglitazoneで低下した.血清中EC-GPXが肥満で増加したのは腎重量増加に伴う腎でのEC-GPX産生増加のためであった.Troglitazoneは強力な抗酸化作用を示した.肥満及び非肥満ラットの腹腔内にLPSを注射すると脂肪組織のiNOS mRNAおよび蛋白を誘導して血中NOを上昇させたが,iNOS発現とNO増加は肥満動物で強かった.troglotazoneはiNOS発現と血中NO上昇を抑制した. 5.分化した3T3-L1脂肪細胞にLPS,TNF-α,interferon-γ(IFN-γ)を同時添加するとNO産生が増加した.NO産生はiNOSの阻害剤同時添加で阻害された.troglitazoneも用量依存性にNO産生を抑制した.3者同時添加はiNOSを誘導し,troglitazoneはiNOS発現を完全に阻止した. 6.ラットをペルオキシソーム増加剤であるフタル酸誘導体含有飼料で飼育すると,血中EC-GPXが低下した.C-GPX活性は変動せず,腎C-GPXおよびEC-GPXのmRNAレベルも変動せずにEC-GPX蛋白レベルが選択的に低下した.フタル酸素誘導投与で腎組織の4-hydroxy-2-nonenalは増加し,酸化的ストレスのために酵素蛋白が不活化したと考えられた.
|