研究概要 |
学校心臓健診でスクリーニングされるQT延長を呈する児にはQT延長症候群患児以外にも,失神の既往や家族歴のない児も多くみられる.これらのQT延長症候群の児やQT延長児でチャンネルの異常が特定されれば,その治療や管理にも大いに寄与することとなる.Cleavase fragment length polymorphism(CFLP)は1本鎖DNAの構造の差を酵素反応の切断パターンをみることで解析可能であり、変異遺伝子の存在を効率的検出可能で,2,000bpまでのサイズのPCR産物も解析できる点で特に優れている。そこで,QT延長症候群患児及びQT延長児のK, Naのチャネル遺伝子の異常についてCFLPを用いた簡便なスクリーニング法の開発を行った。 QT延長症候群の1家系で検討を行ったが,HERG遺伝子は2組,KVLQT1は4組のプラィマーペアを使用し,それぞれをカバーする部分の増幅が可能だった。SCN5Aについては2対のプライマーでDIIIからDIVについてカバーできた.MinKについては1対のプライマーで検討可能だった.CFLPパターンはKVLQT1遺伝子のS4からS5の部位においてのみ差を認め,ダイレクトシークエンスで.ヘテロ接合の異常が確認された. CFLPによるヘテロの遺伝子異常を1家系でスクリーニングできたことで本方法の有用性が示された.そこで,他のQT延長症候群の2家系とQT延長児3例においてもスクリーニングを行ったが,現在のところ遺伝子異常は確認されていない。 今後,症例を更に増やして検討を行ってゆく。更に,CFLPとダイレクトシークエンスを組み合わせてイオンチャネル全ての部分の解析行えるようにする予定である.
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