研究概要 |
1.低Ca状態のモデルラット作製 ラットに離乳直後の3週齢から特殊試料を与え(E群 ; 対照をC群)血漿Caイオン,Ca,CKを測定,モデルラット作製の再現性を確認するととものMgの動態についても検討した。 2.骨格筋細胞膜の安定性に関する電気生理学的検討 ヒラメ筋(遅筋)および長趾伸筋(速筋)の静止電位および活動電位を,ガラス管微小電極を用い2種のCa濃度溶液(0.45mM=L_0および1.12mM=Hi)中で測定した。静止電位は,ヒラメ筋・長趾伸筋共に低Ca血症ラット(E-L_0)と対照ラット(C-Hi)との間に統計学的有意差がなかった。ヒラメ筋の活動電位パラメータ(振幅,半減期,±Vmax)は,E-L_0(測定筋数=21)とC-Hi(測定筋数=28)との間で以下の如く統計学的有意差を認めた。振幅(平均±標準偏差 ; E-L_0/C-Hi) : 66±5.0/77±9.4mV(p<0.0001),半減期 : 3.0±0.7/2.5±0.6ms(p<0.01),Vmax : 62±36/84±25v/s(p<0.005),-Vmax : -25±9/-35±12v/s(p<0.005)。一方、長趾伸筋の活動電位は,いずれのパラメータもE-L_0(測定筋数=19)とC-Hi(測定筋数=12)との間に統計学的有意差を認めなかった(P>0.05)。 以上の結果から,低Ca状態下での高CK血症は骨格筋(特に遅筋)細胞膜の不安定性に起因する可能性が判明した。 3.筋小胞体Ca含有量の検討(予備実験) 数10本の筋繊維から成るヒラメ筋束を取り出し、10-100Hzで1-2秒間の電気刺激を与えた時のモデルラットの張力は対照群のものより大きい傾向にあった。しかし、カフェイン拘縮に差は見られなかった。この結果は上で見たヒラメ筋の膜異常を反映しているかも知れない。
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