研究概要 |
1.TIMP-2のアトピー性皮膚炎に対する治療効果の検討 (1)肉眼的検討. コナヒョウヒダニ抗原でアトピー性皮膚炎モデルマウス(NCマウス)を感作し,同抗原を28日間塗布することによって作成した湿疹病変をアトピー性皮膚炎のモデルとした.その病変にTIMP-2を28日間連日塗布し,松田とLeungによるマウスの皮膚病変重症度スコアを用いて,その効果を検討したところ,TIMP-2塗布4日目からコントロール群との間に重症度スコアの差が生じ,28日目までその傾向は続いた.12日目以後は統計上有意差(p<0.05)が認められた. (2)病理学的検討. 組織学的にもTIMP-2塗布群では肉眼的効果と相応した所見が見られた.すなわちコントロール群に比べて,hyperkeratosis,acanthosis,spongiosisの減少,真皮血管周囲の小円形細胞浸潤減少を認めた. (3)IgEの変化. 塗布開始前,14日目,28日目ともコントロール群と有意差を認めなかった. (4)TEWLの変化. 塗布開始前と28日目を比較したところ,TIMP-2塗布群で有意差(p<0.01)を認めた. 以上より,NCマウスのアトピー性皮膚炎に対してTIMP-2は治療効果を有すると結論した. 2.TIMP-2のアトピー性皮膚炎に対する予防効果の検討. TIMP-2のケラチノサイト増殖効果を利用して,皮膚バリアー能強化をはかり,アトピー性皮膚炎発症の予防を検討した.コナヒョウヒダニ抗原で感作したNCマウスにTIMP-2を14日間,続いてコナヒョウヒダニを14日間塗布した.生じた湿疹病変をコントロール群と比較したところ,肉眼的,組織学的には差を認めなかったが,TEWL値では有意差(p<0.05)を認めた.以上からTIMP-2は弱いバリアー能増強効果を有すると結論した.
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