研究概要 |
^<131>I標識抗体を用いる悪性リンパ腫の放射免疫治療を目的として,動物モデルを作製しヨウ素標識抗体の悪性リンパ腫への集積と治療効果の評価を行った.ヒトB細胞性悪性リンパ腫が高率に発現するCD20抗原に対するモノクローナル抗体を,放射性ヨウ素(^<131>I,^<125>I)で無菌的に標識した.CD20陽性のB細胞株RPMI1788をSCIDマウスに移植し,腫瘍径7〜10mmの時点で^<125>I標識抗体を投与して体内分布と腫瘍への集積を定量化した.治療実験として6mm径の腫瘍を有するマウス5匹を一群として, ^<131>I標識抗体100μCiおよび200μCiを静脈内投与した.対照群には同量の未標識抗CD20抗体,塩酸ドキソルビシンを投与した.また^<131>I標識抗体と塩酸ドキソルビシンの併用治療との比較を行った.^<125>I標識抗体の集積は,投与後1,2,7日目に単位重量あたりの腫瘍/血液比はそれぞれ0.9,1.5,3.4であった.また^<131>I標識抗体投与後のシンチグラフィにより腫瘍への抗体の集積が確認された.^<131>I標識100μCiの抗腫瘍効果は塩酸ドキソルビシン67μgと同等であった.また未標識抗体にも軽度の抗腫瘍効果が認められた.^<131>I標識抗体と塩酸ドキソルビシンの併用療法は治療死を増やさずに治療効果を増強できた.これらの結果は^<131>I標識抗CD20抗体を用いる放射免疫治療がヒト悪性リンパ腫に対して有効で,化学療法との併用により効果の増強が可能であることを示唆する.
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