研究概要 |
心筋血流製剤における肝臓,肺臓および腸管の集積が画像から算出した心筋摂取率に及ぼす影響を検討するために,^<99m>Tc-tetrofosminを投与したラットをガンマカメラでプラナー像(以下,PI)で撮像し,画像から得られた各臓器の摂取率と,摘出臓器(心臓,肺臓,肝臓,血液および腸管)をウェル型シンチレーションカウンタ(以下,WC)で測定した摂取率の値を経時的に比較した。WCによる心臓摂取率は,投与30分後(1.671%±0.306%)まで増加し,その後緩やかに減少した。一方,PIによる摂取率は,投与15分後(1.814%±0.518%)に最大値となり,両者の差は投与10分後(PI/WC比:約1.6)に最大となった。WCによる肺摂取率は投与15分後(0.870%±0.312%)から次第に減少したが,PIによる摂取率は10分後(1.139%±0.376%)で高値を示し,その後ほとんど変化を認めなかった。またWCによる肝臓摂取率は投与5分後(0.768%±0.193%)から30分後(0.692%±0.273%)までほとんど変化を認めず,その後次第に減少したが,PIによる摂取率はWCに比し,10分後(1.949%±0.596%,PI/WC比:約3.3倍),15分後(1.845%±0.642%,PI/WC比:約2.3倍)で高値を示した。WCによる心臓/臓器比はいずれも経時的に増加したが,PIでは経時的変化が少なく,低値であった。PIによる十二指腸と上部小腸の摂取率は投与後10分(1.228%±0.602%,2.245%±1.936%)で最大となり,各腸管壁とその内容物の摂取率の割合は,十二指腸,小腸ともに90%以上が肝臓から排泄された内容物によるものであった。以上より,心臓,肺臓,肝臓の摂取率は,いずれもWCによる値に比べPIでは有意に高値を示した。特に投与後早期で両者の差は大となり,投与10分後では,PIによる心臓の摂取率とWCによる摂取率との間に大きな乖離がみられた。PIから算出された摂取率は必ずしも真の値を正確に表しておらず,心臓に隣接する肝臓,腸管などの高集積による散乱線の関与が大きいと思われた。
|