配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
1.剖検脳MRIと病理所見の対比検討を95例で行い,びまん性大脳白質病変に関しては,アルツハイマー型痴呆(DAT)2例,Binswanger病3例,Creutzfeldt-Jakob病(CJD)3例,intravascular lymphomatosis(IVL)1例,パーキンソン病3例で検討可能であった。Binswanger病では,半卵円中心を中心とした大脳白質は,髄鞘染色および軸索染色でびまん性の淡明化を示し,アストロサイトの反応は乏しく,まだら状の分布を示した。U-fiberおよび脳回内白質は病変を免れるかあっても軽度であった。一方,CJDでは変化は白質全体に及びU-fiberは保たれていなかった。DATでは,白質の変化は側頭葉に強く,前頭・頭頂葉では比較的軽度であった。IVLでは,白質の変化は虚血による変化と区別できなかった。2.拡散強調画像(DWI)を用いた拡散異方性の検討は,脳血管性痴呆(VD)8例,DAT8例,正常対照者5例,その他15例で行った。VDでは,前頭・頭頂後頭葉深部白質におけるADC値は他の2群に比べ有意に高値を示した。また,同部のFA値は他の2群に比べ有意に低値を示し,大脳白質の拡散異方性がびまん性に障害されていた。一方,DATでは深部白質のT2強調像での信号上昇は軽度で,前頭・頭頂後頭葉深部白質におけるADC値は正常対照群と比べ有意な変化が見られなかった。しかし,FA値の検討では正常対照群に比べて頭頂後頭葉白質で有意に低値を示し,DATでは前方白質に比し後方白質での異方性拡散の障害が顕著であった。以上の結果から,MRIはびまん性大脳白質病変を忠実に描出しており,DWIによる異方性拡散の評価を加えることで,MRIはびまん性大脳白質病変の鑑別診断に有用であるとの結論を得た。今後は,剖検例MRIと病理所見の更なる詳細な検討を加える予定である。
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