研究概要 |
腫瘍親和性低酸素細胞放射線増感剤の開発は,癌治療および画像診断において,臨床上大きな貢献を果たすであろうと考えられるが,いまだそうした薬剤開発の報告は,国内外において見当たらない。われわれの過去の研究結果より,RK28システイン抱合体は,そうした薬剤のひとつになりうるかもしれないという仮説をたてた。RK28システイン抱合体は,市販化されていないため,まずは同薬剤を大量に精製する必要があった。 1.動物尿より精製する方法を考案し試みた。動物(健常家兎)にRK28原体を静脈内投与し,採尿した。その後,尿を凍結乾燥しメタノール処理をした後,3種類のクロマトグラフィー(LH20,G10,HPLC)を施行した。その結果,尿中より生体内代謝産物であるRK28システィン抱合体を微量ながらも分取することができた。 2.In vivoにおける腫瘍親和性を検討するために,ヌードマウスヒト頭頚部KM1腫瘍系を確立した。 3.その後,担癌ヌードマウス(ヒト頭頚部KM1腫瘍)2匹に対して,分取された同薬剤を静注し,その後,尿,血液,KM1腫瘍内のRK28システイン抱合体濃度を分析したが,投与量が微量なためか,薬剤の検出は困難であった。残念ながら,RK28システイン抱合体の腫瘍親和性を証明することはできなかった。 4.ヌードマウスにおけるヒト頭頚部KM1腫瘍系の確立とRK28システイン抱合体の分取法について,論文としてまとめ発表した。
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