研究概要 |
アデノシン受容体に基づきポジトロン断層法による心筋の新しい機能診断薬の開発をめざし、以下の成果を得た。 1.アデノシンA_<2a>受容体を映像化するため、7つのキサンチン型^<11>C標識リガンドを合成した。最も心筋への主席の顕著なものは、[^<11>C]KF19631([7-methyl-^<11>C]-(E)-1,3-dially-7-methyl-8-(3,4,5-trimethoxystyryl)xanthine)であり、ネコ心筋が明瞭に描出された。また、[^<11>C]KF17837([7-methyl-^<11>C])(E)-8-(3,4-dimethoxyatyryl)-1,3-dipropyl-7-methylxanthine)による検討により、キサンチン型と非キサンチン型のA_<2a>受容体アンタゴニストはインビボでは受容体への結合様式が異なる可能性が示唆された。また、心筋と脳の受容体への結合の特徴は必ずしも一致しなかった。放射性のヨウ素や臭素で標識することができるリガンドも検討したが、望ましい性質は示されなかった。 2.^<11>C標識アデノシントランスポータ阻害薬を初めて合成した([^<11>C]3-[1-(6,7-dimethoxy-4-qunazolinyl)-4-piperidinyl]-1,2,3,4-てtrahydro-1methyl-6-nitro-2,4-dioxoquinazoline)。インビトロでの親和性に関わらず心筋への集積はそれほど高くなく、トランスポータ特異的な集積を示すデータは得られなかった。 3.アデノシンA_<2a>受容体リガンドのPETへの応用は、心臓におけるアデノシンの機能を新たな観点から検討する方法論になり、心臓核医学の発展に大いに期待できる。また、アデノシン関連化合物は、心筋梗塞などの治療の観点からも興味深い。
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